個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)は、非常にメリットが大きい制度なので、老後資金の準備に是非活用してい頂きたいのですが、始める前に重要となるポイントがあります。
それが、金融機関(運営管理機関)の選択。
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)を始める際に口座を開設する金融機関を選ぶ必要がありますが、どの金融機関を選ぶかによって運用成果が大きく異なる可能性があります。
身近な金融機関(銀行など)ですすめられてイデコ口座を開設してしまう方がいますが、それはおすすめできません。
今回は、イデコ口座を開設する金融機関の選び方のポイントを解説します。
- 1.金融機関の選び方ポイント①:手数料(口座管理手数料など)の比較
- 2.金融機関の選び方ポイント②:投資信託のラインナップの比較
- 3.金融機関の選び方ポイント③:おすすめ金融機関ランキングは参考にすべきか?
- 4.金融機関(運営管理機関)の変更が可能
- まとめ
1.金融機関の選び方ポイント①:手数料(口座管理手数料など)の比較
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)は、掛け金拠出時や給付金受取時などに下記の手数料がかかります。
・加入時手数料
・口座管理手数料
・移換時手数料
・給付事務手数料
上記手数料の中で、重要となるのが口座管理手数料。
口座管理手数料は掛け金の拠出時や運用時に毎月差し引かれるので、1回あたりの手数料額が小さくても長期間で考えると大きな額となります。
掛け金拠出時の口座管理手数料の内訳は下記の通り。
・国民年金基金連合会に支払う事務取扱手数料
・資産管理サービス信託銀行に支払う事務委託先手数料
・金融機関に支払う運営管理手数料
上記3つの内訳のうち、事務取扱手数料(毎月105円)と事務委託先手数料(毎月66円)の合計毎月171円は、どの金融機関を選んでも必ず差し引かれることになります。
3つの内訳のうち、運営管理手数料だけは金融機関によって異なります。
SBI証券や楽天証券などは金融機関の運営管理手数料が無料つまりゼロですが、金融機関によっては毎月の運営管理手数料が418円の場合もあります。
口座管理手数料は、掛け金拠出時だけでなく、掛け金の拠出を止めて運用のみを行う場合にも差し引かれます。
口座管理手数料の一番高い金融機関と一番安い金融機関の比較は下記の通り。
掛け金拠出時:171円 ⇔ 589円(差額:418円)
運用のみの場合:66円 ⇔ 484円(差額:418円)
金融機関ごとの手数料は下記サイトで比較可能。
イデコを始める前には下記サイトを確認し、手数料の安い金融機関はどこかを確認することが重要です。
運用期間が長いと手数料の違いもバカになりません。
1ヶ月では418円の差も、1年では5,016円、10年では50,160円、30年では150,480円もの差になってしまします。
イデコは長期間、加入することになるので、小さな手数料差も見逃せません。
手数料が金融機関ごとに異なることを知らずにイデコを初めてしまっても、後で金融機関を変更することは可能。
しかし、4,000円程度の移換時手数料がかかる金融機関がありますし、手続きには国民年金基金連合会の審査等が必要なため1ヶ月~2ヶ月程度かかるというデメリットがあります。
書類に不備があれば更に時間がかかりますし、不備で書類が返ってきたりすれば途中で挫折してしまう可能性もあります。
また、運用している投資信託などを一度現金化する必要がる点も金融機関変更時のデメリットの1つ。
よって、イデコを始める前にどこの金融機関を選ぶかをしっかりと吟味することをおすすめします。
2.金融機関の選び方ポイント②:投資信託のラインナップの比較
金融機関を選ぶ際に重要となるポイントにどのような運用商品が準備されているかという点があります。
金融機関によって選べる運用商品は異なります。
運用商品を選択する際に「元本確保型商品」は金融機関によって大きな差はありません。
元本確保型商品である保険や定期預金などは、ほとんど金利が付かない状態ですので、どこの金融機関でも大差はありません。
一方、「投資信託」は選択する商品によって、運用成果に差が出る可能性があります。
つまり、老後に受け取れる給付金の額に差が出る可能性も。
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)は上記の口座管理手数料だけでなく、運用商品に投資信託を選んだ場合、通常の投資信託と同様に信託報酬がかかります。
その手数料の差でも運用成果が異なります。
投資信託の信託報酬も運用資産の中から差し引かれるので、手数料の額が大きければ、運用に回る額が小さくなります。
例えば、ある銀行でラインナップされている外国株式で運用するインデックス型の投資信託の信託報酬は約1%。
一方、ある証券会社でラインナップされている外国株式で運用するインデックス型の投資信託の信託報酬は約0.1%。
信託報酬に年0.9%の差があります。
年0.9%と聞くと大したことがないように感じるかもしれませんが、長期間となれば、大きな差となります。
また、運用額が大きくなれば、年0.9%の差でも額は大きくなります。
よって、金融機関を選ぶ際には運用商品としてどのような投資信託が用意されているかを確認することも重要。
どのような投資信託が用意されているかについても下記サイトで比較できます。
個人的には、信託報酬が安い低コストのインデックス型投資信託を多数取り揃えている金融機関をおすすめします。
3.金融機関の選び方ポイント③:おすすめ金融機関ランキングは参考にすべきか?
雑誌などに個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)の金融機関ランキングなどが掲載されていることがあると思いますが、金融機関選びの際にランキングは参考になるのでしょうか?
金融機関ランキングを参考にしてもいいと思いますが、順位のみを鵜呑みにしてはいけません。
何を基準としたランキングなのかを確認し、そのランキングの基準が自分の選ぶ基準に合っているかを確認することが重要。
何を根拠としたランキングであるかがあいまいな場合があります。
また、ランキングが操作されている可能性も否定できないので、最終的には自分で確認することが重要です。
4.金融機関(運営管理機関)の変更が可能
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)は掛け金の全額が所得控除になり、所得税・住民税の負担が軽減されて節税となる部分ばかりに注目が集まります。
節税部分ばかりに注目して、金融機関によって各種手数料が異なることや選択できる運用商品が異なることを知らない方もいらっしゃるでしょう。
上記の通り、金融機関は変更可能なので、既にイデコを始めている方でも手数料などを比較して現在の金融機関の条件が良くないと感じる場合には、変更を検討するのも1つの方法。
金融機関変更の手続きは手間がかかりますが、手数料の違いなどは長期間で考えれば、大きな差となります。
特に若い方は運用する期間が長くなるので変更を考えるのであれば、早めに手を打った方がいいでしょう。
まとめ
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)は、銀行や証券会社、保険会社など多くの金融機関で取り扱っていますが、どこで始めても内容が同じというわけではありません。
イデコへの拠出を始めることも重要ですが、どこの金融機関に口座を開設するかも非常に重要。
身近な金融機関(銀行など)でイデコ口座を開設することはおすすめできません。
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)を始める際には、口座を開設する金融機関の選択にも気を付けて頂ければと思います。
また、既にイデコをやっているという方でも金融機関の変更が可能なので、現在の金融機関の手数料などの条件が良くないと思うのであれば、変更を検討するといいでしょう。