「お金は貯めるより使う方が難しい」。最近、私が痛感していることです。
お金を貯めるのが難しいという方も多いでしょう。
しかし、私は吝嗇の家庭に生まれたおかげで、お金を貯める習慣を身に付けることは難しくありませんでした。
逆に、貯めたお金を使うことが極度にストレスになってしまうタイプ。
資産運用を始めた方の中には、積み立てた資産をどう使えばいいのかという疑問を持つ方も多いようです。
積み立てた資産を取り崩す際にストレスを感じる方が多いのは間違いないでしょう。
リタイア後などに資産を取り崩すのではなく、高配当株などから定期的に収入がある方が気が楽なのは間違いありません。
更に資産形成期にケチケチし過ぎる事にも疑問を感じます。
厚切りジェイソンさんのように倹約が大好きな人はいいですが、死ぬ直前が人生で最も金持ちという状態は避けたいところ。
そこで、資産形成期にも「使う」ことを目的に毎月分配型投資信託の活用を考えました。
余剰資金の一部を毎月分配型の投資信託で運用しながら分配金を毎月受け取り、それを気持ちよく使う。
資産を取り崩すわけではないので、使うことにストレスを感じないはずと考えました。
しかし、実際に購入してみた感想は、やはり毎月分配型の投資信託はデメリットが大きくて使えないということ。
今回は、私が実際に毎月分配型投資信託を購入した実例を使ってデメリットを解説します。
また、毎月分配型の投資信託を使わずに定期的に収入を得る代替案についても解説します。
- 毎月分配型投資信託『アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型』とは?
- 購入事例から考える毎月分配型投資信託のデメリット
- 【結論】毎月分配型投資信託はおすすめできない
- まとめ
毎月分配型投資信託『アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型』とは?
毎月分配型の投資信託とは、その名の通り毎月分配金を受け取れる投資信託のこと。
毎月分配金を受け取れるというメリットがある一方で、認識しておくべきデメリットもあります。
今回、私が購入したのは『アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型』(以下、当ファンド)。
当ファンドの概要は下記の通り。
「アライアンス・バーンスタイン・米国大型グロース株マザーファンド」を通じて、主として成長の可能性が高いと判断される米国株式に投資する。
企業のファンダメンタルズ分析と株価バリュエーションに基づく銘柄選択を基本としたアクティブ運用を行う。
ベンチマークは、S&P500株価指数(配当金込み、円ベース)とする。
毎計算期末の前営業日の基準価額に応じた分配を目指す。
(出典:楽天証券)
簡単にまとめると、米国企業の中で成長の可能性が高い銘柄を選んで運用されているアクティブファンドということ。
なお、アクティブ型ファンドとは、運用のプロであるファンドマネージャーが調査・分析などを行い、ファンド(投資信託)に組み入れる銘柄を選択し、市場平均を上回る運用成果を目指す投資信託。
インデックスファンドに比べて手数料が高いというデメリットもあります。
アクティブファンドとインデックスファンドとの違いについては、下記記事をご参照ください。
当ファンドの過去1年間のリターン(年率)は19.4%。
一方、ベンチマークとしているS&P500のインデックスファンドである「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の過去1年間のリターン(年率)は23.95%。
過去1年間は高い手数料を取りながらインデックスファンドに負けてしまっています。
基準価額の動きは下図の通りで1万円の近辺で推移。
毎月分配型ですので、収益を全て分配金として吐き出している状態でしょう。
(出典:三菱UFJ銀行)
予想分配金提示型とは?
当ファンドは毎月分配型ですが、予想分配金提示型で必ず毎月分配金が受け取れるわけではありません。
下表の通り、基準価額の水準に応じて決定する分配金の額が予め提示されています。
基準価額が11000円未満であれば、分配金が受け取れない可能性もあります。
なお、この投資信託の注意点としては信託期間が2034年6月15日まで(信託設定日:2014年9月16日)と、残り約12年間程度しかないこと。
人気があれば信託期間は延長されるのかもしれませんが、2034年に米国株が低迷していたりすれば、不本意な基準価額での償還があるかもしれません。
購入事例から考える毎月分配型投資信託のデメリット
今回、分配金を「使う」ことを目的として毎月分配型ファンドを購入しましたが、実際に購入してみてもおすすめできる商品ではないというのが実感です。
実際に毎月分配型投資信託を購入して感じたデメリットを解説したいと思います。
手数料が高い
今回、購入した毎月分配型の投資信託は、下記の通り手数料が驚くほど高いです。
- 購入時手数料:3.3%
- 信託報酬:1.727%
なんと購入初年度は、購入時手数料と信託報酬で合計5%超もの手数料がかかります。
1000万円分を一括購入したと仮定すると、手数料はなんと約50万円。
S&P500に連動したインデックス型の投資信託である「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」をネット証券で購入すれば、ノーロード(購入時手数料無料)で信託報酬は0.0968%と0.1%を切っている状態。
アクティブファンドとインデックスファンドという違いはありますが、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と比較すると、手数料が恐ろしく高いことが一目瞭然。
毎月分配型の投資信託は毎月決算を行うため、決算のコストや分配金支払いのコストがかかり、手数料が高くなりがちです。
ただ、手数料が高くてもパフォーマンスが高いのであれば、問題ありません。
しかし、高い手数料を取られているにもかかわらず、ベンチマークとしているS&P500のインデックスファンドである「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」に過去1年間のリターン(年率)では負けています。
なお、当ファンドの購入時手数料は購入する証券会社を選べばゼロにすることが可能。
信託報酬はどこの金融機関で購入しても同じ1.727%。
しかし、購入時手数料は大手証券会社や銀行などでは3.3%。一方、SBI証券や楽天証券などのネット証券ではゼロです。
銀行や大手証券会社ですすめられて気になる投資信託があったとしても、銀行や大手証券会社で購入せずにネット証券で購入することをおすすめします。
複利効果が低い|タコ足配当の可能性
私が当ファンドを購入したのが昨年12月末ごろですが、その後に私が受け取った当ファンドの分配金推移(1万口あたり)は下記の通り。
- 2022年1月:200円
- 2022年2月:100円
- 2022年3月:0円
上記1月と2月の分配金の全額がなんと「元本払戻金(特別分配金)」、つまりタコ足配当でした。
投資信託の分配金には、下記の通り「普通分配金」と「元本払戻金(特別分配金)」の2種類があります。
普通分配金
個別元本を上回る部分からの分配金。投資信託の元本の運用により生じた収益から支払われます。
元本払戻金(特別分配金)
個別元本を下回る部分からの分配金。
元本払戻金(特別分配金)は、「投資した元本の一部払戻し」に当たるため、個別元本は減少します。
(出典:日本証券業協会)
分配金は運用益からしか出ていないと勘違いしている方も多いのですが、毎月分配型の投資信託は高い分配金利回りを維持するために投資元本が払い出されているケースも少なくありません。
そもそも、頻繁に分配金を払い出すことにより利益を確定する形になる毎月分配型投資信託は、複利の効果が下がるので運用効率が悪くなってしまう。
更に、特別分配金で元本が払い出されてしまうと、元本が減ってしまうので運用効率が更に下がってしまうことに。
タコ足配当の可能性があることを知らないと、毎月分配金が受け取れると喜んでいたら、実は受け取っていた分配金の一部は自分が投資した元本だったという笑えないオチが発生します。
今回、当ファンドを購入するにあたって、タコ足配当(元本払戻金)の可能性は認識していました。
しかし、まさか分配金の全額がタコ足配当(元本払戻金)とは予想していませんでした。
私が当ファンドを購入した時期が悪かったというのは事実。
今年の初めから米国株は軟調でしたが、全額がタコ足配当(元本払戻金(特別分配金))になるにもかかわらず、分配金を出すとは予想外の結果。
予想分配金提示型なので、タコ足配当になるようなケースでは分配金は出ないのではないかと思っていましたが、実際は違うようです。
予想分配金提示型とはいえ、基準価額で分配金が決まるので、利益の範囲内で分配金を出しているわけではありません。
よって、利益を超えて分配金を払い出す可能性もあります。
利益部分を払い出すことでも複利効果が下がるのに、元本まで払いだされてしまっては運用効率への影響は最悪。
高く買って安く売るという状態になってしまい、資産を減らすことにつながってしまいます。
【結論】毎月分配型投資信託はおすすめできない
実際に毎月分配型の投資信託を買ってみましたが、「使う」ことが目的だとしても積極的に活用する気にはなりません。
毎月分配金が出るタイプの投資信託を買う方は、毎月分配金を受け取ることを期待している人が多いですから、可能な限り分配金を出さないと人気が落ちてしまうという事情もあるでしょう。
今回の投信は予想分配金提示型で分配金を出さないケースもあり、毎月必ず分配金を出す投信よりは良心的です。
しかし、2ヶ月連続で全額が特別分配金という状況を目の当たりにすると、積極的に買いたいと思えません。
米国の株式市場の低迷が続けば、タコ足配当(元本払戻金(特別分配金))を連発する事態が続き、ムダに運用効率を下げることにつながります。
まとめ
実際に自分で購入してみてもやはり、毎月分配型投資信託は購入すべきではないという結論に達しました。
なお、毎月分配型投資信託は長期で資産形成したい方には全くおすすめできません。
毎月分配型投資信託の代替案としては、まとまった額で「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」などのインデックスファンドを購入し、下記のような定期売却サービスを利用する方法が考えられます。
楽天証券では●万円ずつという定額だけでなく、●%ずつという定率での取り崩しも可能です。
上記のようなサービスを活用すれば、相場が低迷した時は取り崩しを止められるので、毎月分配型投資信託のようにムダに運用効率を下げてしまう事態を避けられます。