2024年にスタートした新NISAをきっかけに、多くの人が資産運用を始めています。
SNSなどで「長期・積立・分散」は初心者向けで安心などと紹介され、オルカン(全世界株式)やS&P500の積立投資が人気を集めています。
初心者にすすめられることが多いので、インデックス型の投資信託を積み立てるインデックス投資はリスクが低くて安全と勘違いしている人も少なくないでしょう。
本当にインデックス投資は「リスクが低くて安全」と言えるのでしょうか?
今回の記事では、「オルカンやS&P500を積み立てるインデックス投資はリスクが低くて安全なのか?」について解説します。
「とりあえず新NISAを始めたけど、これでいいのか不安…」という方は参考にしてください。
オルカン(全世界株式)やS&P500を積み立てるインデックス投資はリスクが低い?
まず簡単に投資におけるリスクについて解説します。
一般的にリスクとは「危険」と訳されることが多いと思いますが、投資においてリスクとは「危険」ではなく、価格変動の振れ幅(不確実性)を指す言葉。
株式や投資信託の価格は日々変動していますが、その変動幅が大きいことをリスクが大きいといいます。
価格変動幅が小さければ、リスクは小さいことになります。
(出典:日本証券業協会)
では、オルカンやS&P500はリスクが低いのでしょうか?
下図は過去1年間の『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』のチャートです。
御覧の通り、トランプ関税の影響でS&P500は直近高値の基準価額34,638円から26,296円まで約24%の下落。
では、『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』はどうでしょう。
オルカンも直近高値の基準価額28,060円から22,305円まで約26%の下落。
オルカンもS&P500も株式の集合体であり、リスクが低いわけではありません。
当然、元本割れの危険性もあります。
また、積立投資だからといってリスクが下がるわけではありません。
なお、預貯金・債券・投資信託・株式のリスクを比較すると、下記の通り。
預貯金 < 債券 < 投資信託 < 株式
(出典:日本証券業協会)
リスクを下げるために分散投資すべき?
オルカンやS&P500を積み立てるインデックス投資のリスクが高いのであれば、資産を分散してリスクを下げるべきではと考える方もいるでしょう。
資産を分散するうえで検討されるのがバランス型のファンド。
代表的なバランス型ファンドには、『eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)』などがあります。
年初来の基準価額の動きをオルカン、S&P500、バランス型ファンド(8資産均等型)で比べると下図の通りです。
(出典:マネックス証券)
年初来では、バランス型の8資産均等型が最もリスクが低くリターンも高くなっています。
しかし、比較期間を3年間に延ばしてみると下図の通り、バランス型のリターンが低いことが分かります。
確かに資産を分散したことによってリスク(価格の振れ幅)は小さくなりますが、それに伴いリターンも低くなります。
つまり、ローリスクであればローリターンということ。
多くの方は新NISAを活用して月数万円程度の積立を長期で行うのが前提のはず。
であれば、バランス型ファンドの購入はおすすめしません。
資産は分散させ過ぎずにオルカンやS&P500など株式に集中した方がリターンが高くなります。
インデックス投資の本質を理解する|長期で運用を継続することが重要
インデックス投資は短期の価格変動を気にする投資法ではありません。
最低でも10~15年程度のスパンで収益を考える投資法です。
つまり、時間を味方に付けて複利効果を最大限に活用するのがインデックス投資。
下図の通り、S&P500は過去のデータでは15年程度でリターンが安定することが分かります。
(出典:WealthNavi)
インデックス投資で重要なことは、リスク(価格変動の振れ幅)は低くないと理解すること。
更に、短期の価格変動は気にする必要はなく、長期で運用すればリターンは安定するということを理解することです。
まとめ
新NISAを利用し始めた人の中には、多くの人がやっているインデックス投資はリスクが低いと勘違いしてるケースがあります。
しかし、インデックス投資は決してリスクが低い投資法ではありません。
今年のように短期間で20%を超える価格下落に見舞われる可能性もあります。
ただし、リスクを下げるためにバランス型ファンドを検討することはおすすめできません。
バランス型ファンドはリスクは低いですが、リターンも低くなります。
インデックス投資で重要なことは、リスクは低くないと理解すること。
更に、短期で価格変動は気にする必要はなく、長期で運用すればリターンは安定するということを理解することです。