日本では子供が生まれたら、とりあえず学資保険に入るという方が多くないでしょうか?
子供が生まれたら学資保険に加入するというのが、常識となっているようにも感じます。
しかし、常識が常に正しいとは限りません。常識を疑わないと、思わぬ損失を被る可能性があります。
実は、教育資金の準備に現在の学資保険はおすすめできません。
おすすめできない理由は、低金利の影響で返礼率が下がっているから。
今回の記事では、学資保険のシミュレーションを使って、おすすめしない理由を解説します。
1.学資保険とは?|メリット・デメリット
学資保険とは、子供の教育資金を準備するための貯蓄型の保険。
毎月や毎年決まった額の保険料を支払うことにより、満期保険金(学資金)を受け取ることができる積立型の保険です。
学資保険のメリット
学資保険は保険というだけあって契約者である親が死亡したり高度障害状態などになれば、保険料の支払いが不要になり予定通りの学資金が受け取れるという保障機能が付いています。
また、契約者に万が一のことがあれば、育英年金が受け取れるタイプの学資保険もあります。
教育資金の準備は、学資保険以外にも定期預金や資産運用などの方法がありますが、学資保険には保障機能が付いている点が大きなメリット。
学資保険のデメリット
学資保険の大きなデメリットは、途中解約時に元本割れする点。
例えば、銀行預金などで教育費を積み立てた場合、途中で資金が必要になっても元本割れすることなく、お金を引き出せます。
しかし、学資保険を途中解約する場合、それまで払い込んだ保険料を解約時に受け取る解約返戻金が割り込む元本割れが発生してしまいます。
予定外の時期に子供にお金が必要となる場合もありますが、そのようなケースでは学資保険は対応しづらいというデメリットがあります。
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2.教育資金の準備に学資保険をおすすめしない理由とは?
さて、上記の学資保険のメリットとデメリットを理解して頂いたところで、現在の学資保険がおすすめできない理由を解説したいと思います。
元本割れする学資保険がある?|学資保険のシミュレーション
学資保険と聞くと満期まで保険料を払い込めば、必ず払い込んだ保険料以上のお金が学資金として受け取れると思っていないでしょうか?
例えば、95万円の保険料を払い込んで、100万円の学資金を受け取れるというイメージ。
しかし、下記の学資保険のシミュレーションを確認した頂きたいのですが、満期まで保険料を払い込んでも必ず元本割れする学資保険も存在します。
【学資保険 契約例】
学資金受取総額:300万円
保険期間:18年
保険料払込期間:10年
契約者:男性(35歳)
被保険者:男性(0歳)
特約:保険料払込免除特則付
月額保険料:25,510円
返戻率:98.0%
上記は、35歳の父親が生まれてきた0歳の子供のために学資保険に加入するというシミュレーション。
上記契約例だと保険料の払込総額は3,061,200円となります。つまり、満期保険金300万円受け取るのに、約306万円支払わなければなりません。
日銀の金融緩和の影響で非常に金利が低い状態が続いているため、学資保険の返戻率も下がっています。
保険料を値上げした影響で返戻率(満期保険金÷総払込保険料×100)が下がり、条件によっては受け取る学資金が払い込む保険料を割り込む元本割れが発生するような学資保険も存在します。
学資保険には契約者である親に万が一のことがあった場合、その後の保険料支払いが免除されるという保障機能があるので、数%程度の元本割れであれば、許容範囲内と思われる方もいるかもしれません。
しかし、学資保険に保障機能が付いていたとしても、支払った以上の学資金が戻ってくることを期待して加入する方がほとんどだと思います。
元本割れしない学資保険も販売されているので、学資保険に加入する際には各社の商品を比較して加入する必要があります。
学資保険の返戻率は低すぎる
上記の通り、日銀の金融緩和の影響により日本では低金利状態が続いていて、保険の予定利率も下がっています。
予定利率が下がると積立型の保険の返戻率は下がることになります。
今回シミュレーションした学資保険のように、条件によっては元本割れする学資保険があるような状態。
満期まで継続すれば、元本割れしない学資保険もありますが、返戻率(満期保険金÷総払込保険料×100)が一番よくなる条件の契約例でも返戻率は110%未満。
「学資保険 返戻率 ランキング」などでググって頂ければ分かりますが、返戻率が最も高い商品で109%程度です。
学資保険は、途中解約時には元本割れするので、資金を長期間固定することになってしまいます。
長期間資金を固定して、10%も増えない学資保険に魅力があるのかと思わざるを得ません。
3.学資保険に加入する際に注意すべきポイント
現在の学資保険への加入はおすすめできませんが、どうしても学資保険を検討したいという方は下記の点にご注意ください。
加入前には払込保険料総額と受け取る満期保険金の比較をする
学資保険に加入する際には、いくら払って、いくら受け取れるのかを必ず確認してください。
最も危険なのが、学資保険だから元本割れするわけないという思い込み。
以前の記事でも書きましたが、積立型の保険を検討する際には必ず電卓をたたいて確認するようにしてください。
実際、私がご相談を受けた事例でも、加入している学資保険が元本割れすることに気付いていない方がいました。
営業担当の説明が悪いのはもちろんですが、加入する方も一番大事なポイントを確認すべきです。
学資保険に子供の医療保障は必要?
学資保険に加入している方の中に特約として子供の医療保障をセットしている方がいます。
すすめられるままに子供の医療保障特約をセットしているのかもしれませんが、子供の医療保障特約部分は掛け捨てとなるので、学資保険全体としては返戻率(満期保険金÷総払込保険料×100)が下がってしまいます。
子供の医療保障特約のために学資保険が元本割れとなるケースもあります。
そもそも、子供の医療費には各自治体ごとに補助があるため、子供に医療保障の必要性は低い。
学資保険に特約を付けると、その分、返戻率が下がってしまうので、なるべくシンプルなプランで加入することをおすすめします。
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4.今加入している学資保険は解約すべき?
既に学資保険に加入している方に関しては、慌てて解約するということは避けてください。
予定利率が高い時に加入した契約であれば、解約すべきでない場合もあります。
まずは、いくら払って、いくら受け取れるのかを確認し、その結果から継続するか解約するかなどを判断してください。
解約以外にも保険料の支払いを止めて契約を継続する払済保険への変更という方法がとれる場合もあります。
なお、学資保険には保障機能も付いているという点も含めて、解約するかを検討して頂ければと思います。
完全にムダと判断できるのであれば、元本割れを恐れず、解約するのも1つの方法でしょう。
まとめ
積立型の保険は予定利率が下がっているため、返戻率(満期保険金÷総払込保険料×100)は非常に低い状態で学資保険も例外ではありません。
保険に加入する際に危険なのは、思い込み。
学資保険は満期まで続ければ元本割れすることはないと思われている方が少なくないと思います。
学資保険を含めて積立型の保険に加入する際には、必ず最終的に「いくら支払う必要があり、いくら受け取れるのか」を確認するようにしてください。
教育資金の準備方法については、下記記事をご参照ください。