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【ブログコラボ企画】教育費用はいくら必要?教育資金のおすすめの貯め方は?


人生の三大費用は、「子供の教育費」「住宅購入費」 「老後の生活費」と言われています。

老後2000万円問題」で「老後資金」が注目を集めましたが、お子さんがいる家庭では「教育資金」についても関心が高いでしょう。

 

今回は、素敵なゲストの方から質問を頂きました。

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Sai.さんは、2歳と5歳のお子さんがいらっしゃり、教育資金がいくら必要なのかという疑問をもっていらっしゃいます。

www.sai-kurashi.com

 

今回はコラボ企画として、Sai.さんの質問をもとに教育資金はいくらかかるのか?どのように貯めるべきなのか?などについて解説したいと思います。

1.教育資金はいくら必要?

子供の教育資金はいくらくらいかかるのでしょうか?漠然としていると不安ばかりが大きくなります。

 

文部科学省の調査をもとに子供の学費を確認してみたいと思います。

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・幼稚園から高校までの学費

まずは、子供1人が高校を卒業するまでにかかる教育費について確認してみたいと思います。

 

文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査の結果について」によると、下表の通りになります。

  公立 私立
幼稚園 649,088円 1,584,777円
小学校 1,926,809円 9,592,145円
中学校 1,462,113円 4,217,172円
高等学校 1,372,072円 2,904,230円

 

子供の教育資金は、公立に通うか私立に通うかで、大きく必要な費用が異なりますので、一概にいくらかかるということはできません。

 

文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査の結果について」によると、公立に通わせるか私立に通わせるかで下図の通りの差が発生します。

幼稚園から高等学校までの教育費用

 

ケース1の幼稚園から高校まで全て公立の場合(541万円)と、ケース4の全て私立に通った場合(1,830万円)では、学費に3倍以上の差が発生します。

 

中学校くらいまでは、親の都合で子供を公立に通わすか、私立に通わすかをある程度コントロールできますので、家計の状況によって、子供に進ませるルートは決まってくるでしょう。 

 

多くの方が進むルートであるケース2であれば、15年間でかかる費用は635万円です。

教育費用の総額を見ると、大きな額に思えますが、15年間の総額であり、一度に支払う必要があるわけではありません。

 

また、消費税の増税に伴い、2019年10月から「幼児教育・保育の無償化」が始まりましたし、「高等学校就学支援金」いわゆる高校無償化制度もありますので、高校までの学費負担は軽減されています。

 

なお、小学校高学年から中学校にかけては、補助学習費である塾代がかなり負担となります。

例えば、塾代の平均月額は、公立中学校3年生で3万円、私立中学校3年生で2.1万円となっています。

 

よって、塾代がかかる年代に備えて、子供が小さく、お金がかからない間の貯め時を逃さないことが重要です。

 

「幼児教育・保育の無償化」で浮いたお金も、将来の塾代などのために貯めておくと安心です。

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・大学の学費

多くの方が最も心配されているのが大学に通うための費用でしょう。実際、教育費のピークは子供が大学に通う18歳~22歳くらいになります。

 

大学も公立か私立か、文系か理系か、又は医系かでかかる費用が大きく異なります。

子供が複数人いる場合などは、教育費が収入を上回る可能性もあるので、それを見越して準備しておく必要があります。

 

大学の学費の平均は、国公立は約240万円、私立文系は約400万円、私立理系は約540万円です。

上記以外にも教科書代などもかかるので、子供一人当たり300万円~500万円くらいを目標として準備したいところです。

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子供一人当たり、上記の金額を準備する必要があるので、お子さんが2人以上いるご家庭では、負担も大きくなります。

上記の金額をゼロから準備すると考えると大変ですが、児童手当が受け取れるので、児童手当の活用をベースに考えるといいでしょう。

 

児童手当は、下記の金額を受け取ることができます。

 

0歳~3歳未満月1.5万円
3歳~小学生月1万円(第3子以降は月1.5万円
中学生月1万円

ただし、所得制限世帯は一律5,000円となります。

 

児童手当を単純に計算すると、第1子と第2子は、中学卒業までの合計で198万円を受け取れることになります。

 

児童手当に加えて、高校卒業までの18年間に月5,000円を追加すれば108万円(6万円×18年間)、月1万円を追加できれば216万円(12万円×18年間)を準備することができます。

 

月1.5万円を積み立てれば、324万円(18万円×18年間)追加でき、児童手当と合計すると500万円を超えてきます。

 

500万円が準備できれば、私立理系の大学でもほとんどの学費を賄うことができます。

 

子供の教育資金の準備ができていないと、一度に大きな額の出費が必要となり、親の老後資金準備に悪影響を及ぼす可能性があります。

よって、子供が小さい時からコツコツと積み立てる意識が必要です。

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2.教育資金の貯め方は?

では、教育資金を貯めるには、どのような方法を活用すべきでしょうか。

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・学資保険

教育資金を準備する方法として、最も一般的に知られているのが学資保険でしょう。子供が生まれたら学資保険に加入するということが常識化しています。

しかし、現在の学資保険には注意が必要です。どんな条件で加入しても下記シミュレーションのように元本割れする学資保険も存在します。

 

【学資保険 契約例】
学資金受取総額:300万円
保険期間:18年
保険料払込期間:10年
契約者:男性(35歳)
被保険者:男性(0歳)
特約:保険料払込免除特則付
月額保険料:25,510円
返戻率98.0%

 

日本銀行(日銀)の金融緩和により、異常な低金利が長期間続いています。その影響で、保険の予定利率も下がり、以前のような貯蓄性はなくなっています。

 

学資保険には、契約者である親が死亡したり高度障害状態などになれば、保険料の支払いが不要になり、予定通りの学資金が受け取れるという保障機能が付くというメリットがあります。

 

しかし、受け取る学資金が元本割れ(受け取る学資金が払い込んだ保険料を割り込む)を起こす学資保険に加入するのはいかがなものでしょうか。

 

また、学資保険には、途中解約すると元本割れするというデメリットもあるので注意が必要です。

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・資産運用(ジュニアNISA・つみたてNISA・一般NISA)

NISA(少額投資非課税制度)には、「ジュニアNISA」という制度があり、教育資金の運用にぴったりではないかというイメージを持っている方も多いと思います。

 

ジュニアNISAには、下記のようなメリットがある反面、デメリットもあるので、学資の積立に強くおすすめできる制度ではありません。

 

ジュニアNISAのメリット

ジュニアNISAのメリットは、通常、株式や投資信託などの売却益や配当金・分配金にかかる20.315%の税金が非課税となる点です。

 

非課税枠は年間80万円であり、非課税期間は最長5年間です。よって、非課税投資枠は最大400万円となります。

しかし、ジュニアNISAは2023年で制度が終了する予定なので、今年から利用すると非課税投資枠は最大320万円となります。 

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ジュニアNISAで非課税となる対象商品は、上場株式株式投資信託ETF(上場投資信託)REIT(不動産投資信託)などです。

 

ジュニアNISAのデメリット

ジュニアNISAは現状、18歳になるまで口座からの払い出し制限があり、資金を引き出すには口座を廃止する必要があります。

ただし、上記の通り、ジュニサNISAは2023年に終了予定で、制度終了後である2024年1月1日以降は、18歳までの払い出し制限を撤廃し、非課税で途中払い出しが可能となる予定です。

 

教育資金は塾代などで、途中払い出しが必要になる可能性があります。

しかし、ジュニアNISA口座から途中引き出しする場合には、非課税だった過去の運用益の全てが課税対象となるので、基本的には制度終了まで引き出す必要のないお金で運用すべきです。

 

また、ジュニアNISAは、子供向けのNISAではあっても、運用する商品は株式や投資信託などなので、元本割れする可能性があります。

制度の名前がジュニアと付いているので、リスクが低いイメージを持ってしまう方がいるかもしれませんが、一般に投資する場合とリスクの高さは全く変わりません

 

教育資金はいつ必要になるかわからないので、元本割れする商品で運用するのはリスクがあります。

 

また、仮に、予定通り子供が18歳になるまで運用していたとしても、大学入学時などに運用状況がプラスである保証はどこにもありません。大学の費用が必要となった時にリーマンショック級の下げ相場がきている可能性もあります。

 

つみたてNISAの活用

子供の教育資金の積立だからといって、ジュニアNISAの利用にこだわる必要はありません。 

ご自身や配偶者の「つみたてNISA」や「一般NISA」枠が空いているのであれば、その枠を使うのも一つの手です。

 

「つみたてNISA」や「一般NISA」であれば、いつ現金化しても非課税です。ただし、ジュニアNISAと同様に運用状況によっては、元本割れの可能性がありますので、注意が必要です。 

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・個人向け国債(変動10年)

教育費用は安全第一で準備したいという場合には、個人向け国債(変動10年)を活用するという方法もあります。

 

個人向け国債(変動10年)であれば、1万円から購入できますし、購入から1年が経過すれば、元本割れすることなく、現金化が可能です。

また、どんなに金利が低い状態でも最低0.05%の利率が保証されています。

 

途中引き出しの可能性がある教育資金の積立には、ある程度、安全性と換金性の高い方法が向いています。  

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まとめ 

以前は、学資保険の予定利率も高かったので、何も考えずに学資保険に加入するという考え方でもいい時代がありました。

しかし、現在のような低金利時代には、学資保険に加入するメリットがほとんどないような状態です。 

 

教育資金の準備をする際には、1つの手段に固執する必要はありません。複数の積立方法を併用することも可能です。

 

教育資金の積立は現金化が難しい手段に偏ると、急に資金の引き出しが必要になった際に対応が難しくなります。よって、学資保険だけやジュニアNISAだけという準備方法はやめておいた方が無難です。

 

教育資金に関しては、急に現金化が必要となる可能性を考慮すると、ムリに運用などせず、安全第一で個人向け国債(変動10年)のみで準備するという考え方も、個人的にはアリだと思います。

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最後に

Sai.さん、今回は素敵なイラストを8枚もご提供いただき、本当にありがとうございました!

私の殺風景なブログが、今回は華やかになりました!!

 

Sai.さんのブログは、素敵なイラストだけでなく、内容も子育てあるあるで共感できたり、クスっと笑わせてくれたりと、おすすめです。

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Sai.さんは人間的にも素晴らしい方で、今回のコラボ企画では大変お世話になりました。また、コラボして頂けたらと思います。