NISA(少額投資非課税制度)には、「一般NISA」と「つみたてNISA」の2種類があることを知っている方は多いでしょう。
しかし、両制度の違いをはっきりと認識できていない方も意外と多いと思います。
更に、2023年には「一般NISA」が終了し、2024年からは「新NISA」制度が始まります。
「一般NISA」と「つみたてNISA」のどちらをやったらいいのかと悩んでいる方もいるでしょう。
そこで今回は、NISA制度の下記ポイントについて解説します。
- 「一般NISA」と「つみたてNISA」の違いとは?
- 「一般NISA」と「つみたてNISA」のどちらを活用すべき?
- 2024年に始まる「新NISA」制度の概要とは?
- 「新NISA」と「つみたてNISA」のどちらを活用すべき?
- 1.一般NISAとは?
- 2.つみたてNISAとは?
- 3.「一般NISA」と「つみたてNISA」を比較|大きな違いとは?
- 4.「一般NISA」と「つみたてNISA」は併用できる?
- 5.「一般NISA」から「つみたてNISA」への切り替えは可能か?
- 6.「一般NISA」と「つみたてNISA」のどちらを活用すべき
- 7.一般NISAは終了し新・NISAへ|つみたてNISAとどちらがおすすめ?
- まとめ
1.一般NISAとは?
NISA(少額投資非課税制度)とは、2014年1月からスタートした少額からの投資を促進するための非課税制度。
通常、株式や投資信託などの売却益や配当金・分配金には20.315%の税金がかかりますが、一般NISA口座を活用すると株式や投資信託などの売却益や配当金・分配金が5年間非課税となります。
一般NISA口座の毎年の非課税投資枠は120万円、非課税期間は最長5年間、非課税投資枠は最大で600万円。
投資可能期間は2014年~2023年です。
一般NISAで積立投資は可能か?
積立投資というと、つみたてNISAをイメージする方が多いと思いますが、実は、一般NISAでも積立投資が可能です。
非課税投資枠内での投資信託などの積立投資も可能。
実際に私は、一般NISAで高配当株投資とインデックスファンドの積立投資を行っています。
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2.つみたてNISAとは?
つみたてNISAとは、2018年1月からスタートした長期の積立・分散投資を促進するための税制優遇制度。
通常、投資信託の売却益や分配金には、20.315%の税金がかかりますが、つみたてNISA口座を活用することにより非課税となります。
つみたてNISAの毎年の非課税投資枠は40万円、非課税期間は最長20年間、最大の非課税投資枠は800万円。
投資可能期間は2018年~2037年です。
つみたてNISAの対象商品は、一定の条件を満たして金融庁に届け出された投資信託とETF(上場株式投資信託)に限定されています。
具体的な対象商品は、インデックス型の投資信託が167本、アクティブ型の投資信託が19本、ETF(上場株式投資信託)が7本の計193本。
なお、つみたてNISAについては、投資可能期間の延長が決定。
2037年までに積み立てを開始すれば、2038年以降も積立が可能となります。
3.「一般NISA」と「つみたてNISA」を比較|大きな違いとは?
「一般NISA」と「つみたてNISA」の非課税投資枠や非課税期間などの比較表は、下表の通り。
つみたてNISA | 一般NISA | |
---|---|---|
対象者 | 日本に住む20歳以上 | |
非課税投資枠 | 40万円 | 120万円 |
非課税期間 | 20年間 | 5年間 |
対象商品 | 投資信託・ETF (金融庁が認定したものに限る) |
株式・投資信託など |
投資可能期間 | 2018年~2037年 | 2014年~2023年 |
上記比較表の中で、確認して頂きたい両制度の大きな違いが、投資できる対象商品。
個別株が買えるのは「一般NISA」、投資信託やETFの積立投資しかできないのが「つみたてNISA」。選べる投資商品が異なるのでどちらを選択するかは重要です。
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4.「一般NISA」と「つみたてNISA」は併用できる?
一般NISAとつみたてNISAの併用が可能かという質問が多いのですが、残念ながら同一年で両方の制度を併用することはできません。
一般NISAとつみたてNISAのどちらの口座を開設するかを選択する必要があります。
5.「一般NISA」から「つみたてNISA」への切り替えは可能か?
一般NISAからつみたてNISA口座への変更や、逆につみたてNISAから一般NISA口座への変更も可能。
既にどちらかの口座を開設していて、変更したい方は手続きをすることによって、切り替えることが可能です。
なお、両制度間の切り替えは年単位で可能。
例えば、今年は一般NISA口座を活用しているのであれば、つみたてNISAに変更できるのは、来年からということになります。
6.「一般NISA」と「つみたてNISA」のどちらを活用すべき
一般NISAとつみたてNISAのどちらを活用すべきでしょうか?
両制度ともメリット・デメリットがあるので、どちらか一方を全ての方におすすめすることはできません。
それぞれの方の投資スタイルによって、どちらを活用すべきかが異なります。
一般NISA口座の活用が向いている方
高配当株に投資したい方や桐谷さんのように株主優待を狙いたい方、また、自ら投資対象とする個別企業などを選びたい方は、一般NISA口座の方が向いています。
つみたてNISA口座では個別の企業の株式は買えません。
よって、高配当株や株主優待を狙いたい場合には、一般NISAを選ぶ必要があります。
しかし、優待狙いで欲しい株式はある特定の銘柄だけとういような場合には、「一般NISA」にこだわらず、課税口座(一般口座・特定口座)で購入するのも1つの方法。
例えば、ある百貨店でよく買い物をするから株主優待の割引券が欲しいとします。
株主優待で欲しいのは、その百貨店の割引券だけというような場合には、百貨店の株式は課税口座で買って、それ以外の運用については「つみたてNISA」で投資信託の積立をするという考え方もあります。
また、海外ETFでインデックス投資をしたいのであれば、一般NISAが選択肢となります。
現在のところ、海外ETFはつみたてNISAの投資対象ではありません。
一般NISAで海外ETFを購入すると、分配金に対する国内の所得税・住民税は非課税になりますが、海外では課税されます。
本来であれば、国内と国外で二重課税となることを防ぐため、海外の課税分を取り戻す「外国税額控除」制度を利用できます。
しかし、一般NISAで海外ETFを購入した場合には「外国税額控除」の対象外となる点には注意が必要。
つみたてNISA口座の活用が向いている方
個別企業の株式をどう選んでいいか分からない方や、株式の売買タイミングが判断できない方などは、「つみたてNISA」の方がおすすめです。
個別株式は、銘柄の選定や売買のタイミングが難しいので、投資経験の少ない方や頻繁に業績や株価などをチェックできない方などについては「つみたてNISA」の方が向いています。
つみたてNISAは、一度購入する投資信託やETFを選んだら、その後は選んだ商品を毎月積み立てていくことになりますので、売買のタイミングを考える必要はありません。
ある程度ほったらかしで投資をしたいという方には「つみたてNISA」の方が向いています。
また、つみたてNISAで投資対象となっている商品は、販売手数料ゼロ、信託報酬は一定水準以下など、長期・分散・積立に適した投資信託及びETF(上場株式投資信託)に限定。
投資対象商品に大きなハズレがないという意味でも初心者の方に向いている制度です。
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7.一般NISAは終了し新・NISAへ|つみたてNISAとどちらがおすすめ?
一般NISAは2023年で終了し、2024年からは新NISAがスタートします。
『新・NISA』は下図の通り2階建ての構造になり、原則として1階部分である年間20万円までの積立投資を必ず行う必要があります。
(出典:東証マネ部)
「一般NISA」を利用していた人など投資経験がある場合は、届け出を出して1階の利用なしでも2階を利用することも可能。
ただし、その場合、投資上限額は2階部分の102万円のみで、投資対象商品も上場株式に限られます。
株式投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)などを買うには先に1階部分で積立投資を行う必要があります。
なお、「新・NISA」の制度概要は下表の通り。
新・NISA | ||
---|---|---|
年間の投資上限額 | 1階 | 20万円 |
2階 | 102万円 | |
非課税期間 | 1階 | 5年間 |
2階 | ||
口座開設可能期間 | 1階 | 2024年から2028年まで |
2階 | ||
投資対象商品 | 1階 | 積立・分散投資に適した公募株式投資信託など(つみたてNISA対象商品) |
2階 | 上場株式、株式投資信託など(値動きの激しいレバレッジ型投資信託などは除外) |
「新・NISA」がスタートした場合でも、「新・NISA」と「つみたてNISA」の併用はできません。
では、「新・NISA」と「つみたてNISA」はどちらを選択すべきでしょうか?
投資が仕事でも趣味でもない方には、ほったらかし投資が可能なインデックス投資を「つみたてNISA」で行うことをおすすめします。
個別株投資や海外ETFを購入したい方は、「新・NISA」を選択するといいでしょう。
まとめ
一般NISAとつみたてNISAの大きな違いは、購入できる商品の違い。
一般NISAは個別株の購入が可能。
一方、つみたてNISAは個別株の購入はできず、投資信託かETFの積立投資のみが可能。
一般NISAが向いている方は、下記の通り。
高配当株に投資したいという方や株主優待銘柄を中心に投資したいという方、また、多くの商品の中から投資先を自分で選んで投資をしたいという方。
つみたてNISAが向いている方は、下記の通り。
個別企業の株式をどう選んでいいか分からない方や、株式の売買タイミングが判断できない方など、ある程度ほったらかしで投資がしたい方。
特にこれから資産運用を始めるという方については、金融庁によって対象商品が限定されている「つみたてNISA」の方がおすすめです。
なお、一般NISAとつみたてNISAは同一年での併用はできません。
よって、ご自身の投資スタイルに合った方を選んで頂ければと思います。
なお、一般NISAは2023年に終了し、新NISAがスタートする予定。
新NISA制度が始まっても、投資初心者の方には「つみたてNISA」を活用したインデックス投資がおすすめです。