資産運用を始める目的は人それぞれです。
老後資金が不安で投資を始める人がいる一方で、FIRE(早期リタイア)を目指して資産運用を考えている方もいるでしょう。
資産運用の中でインデックス投資は、投資初心者でも手間なくお金持ちになれる可能性の高い投資法なので、FIRE(早期リタイア)を目指してインデックス投資を始めようと考えている方もいるかもしれません。
インデックス投資でFIRE(早期リタイア)することは可能なのでしょうか?
FIREとは?
FIREとは「Financial Independence, Retire Early」 の頭文字4文字で、日本語では「経済的に自立して早期退職する」ということになります。
簡単にいうと、下記のように配当所得などの不労所得が生活費を上回っている状態。
「生活費 < 不労所得」
つまり、FIREとは働かなくても不労所得だけで生きていける状態のことです。
FIREは、もともとアメリカのミレニアル世代で流行した概念で、欧米で大きなFIREムーブメントが起きました。
節約で生活費を削減してコンパクトに生活しつつ、運用で資産を増やしてリタイアし、不労所得だけで生活するという概念です。
FIREするために必要となる額は?
FIREするためにはどの程度の金額が必要となるのでしょうか?
FIRE(早期リタイア)するために必要な額は「年間支出の25倍」とされています。
25倍の根拠は「4%ルール」に基づいたもの。
「4%ルール」とは、資産運用を続けながら生活費として取り崩す額を投資元本の4%に抑えれば、資産を目減りさせることなく暮らせるというアメリカでは定着している考え方です。
資産が生活費(年間支出)の25倍になれば、4%ずつ取り崩しながら生活しても資産は減らない計算になります。
インデックス投資でFIRE(早期リタイア)は可能か?
では、インデックス投資でFIRE(早期リタイア)することは可能なのでしょうか?
(当ブログではインデックス投資を「世界中に分散したインデックスファンドを積み立て投資して長期保有すること」と定義しています。)
結論から申し上げると、一般的な収入・支出ではFIRE(早期リタイア)は難しいでしょう。
これは、FIREするためにいくら必要なのかを考えるとすぐに分かります。
総務省による「家計調査の消費支出(総世帯・2019年平均)」によると、1世帯あたりの平均支出は月額24万9,704円で、年間では299万6,448円となっています。
年間支出の約300万円にFIREの目安である25倍を掛けると7,500万円(税引き前)。
公的年金だけでは老後に2000万円が不足するとされただけで大騒ぎになったのに、7,500万円はその3.5倍を超える金額。
仮に毎月3万円ずつをインデックスファンドで積み立て投資して、年利5%で運用しても7,500万円に到達するまでに49年かかります。
30歳の方でも79歳になってしまい、早期リタイアとはいえません。
また、積立額を毎月5万円に増やしても、7,500万円に到達するのには約40年が必要です。
30歳の方は70歳になってしまい、これも早期リタイアという状況ではありません。
下記記事のようにインデックス投資だけで億り人になれる人もいますが、毎月の入金力が違います。
早期リタイアには稼ぐ力(人的資本)の向上が必要
下記記事で「お金持ちの方程式」をご紹介しましたが、FIREするための資産を作るためには、「収入を上げる」「支出を下げる」「運用利回りを上げる」の3つの方法があります。
資産形成=(収入-支出)+(資産×運用利回り)
上記3つの方法の中で最もおすすめできないのが、「運用利回りを上げる」こと。
運用利回りを上げようとすると、どうしてもギャンブル的・投機的な取引をせざるを得なくなります。
株のデイトレードやFXなどにより短期間で億り人になった方などがメディアで紹介されることがありますが、短期間で大きな収益を上げるためには運の要素もあるので、再現性は高くありません。
また、ギャンブル的・投機的な取引をすると、資産を増やすどころか、大きく減らしてしまう可能性もあります。
現実的には、ムダな出費を削減して「支出を下げる」。
更に副業などで「収入を上げる」努力をして運用に回せる資産を増やすことが重要となります。
「収入-支出」を大きくしてタネ銭を増やすことが、短期間でお金持ちになる近道といえるでしょう。
FIREするためには節約だけでなく、稼ぐ力(人的資本)の向上も必要ということになります。
誰もがFIRE(早期リタイア)を目指すべき?
日本の平均的な年収の方がFIREするのは難しいことだと思います。
生活費の節約だけでは限界があるので、副業をしたり起業するなどの方法で稼ぐ力(人的資本)を向上させる必要がありますが、簡単なことではありません。
しかし、私は誰もがFIREを目指した方がいいと思います。
日本人全員がFIREを目指すという社会は現実的ではないかもしれませんが、FIREという概念に共感できるのであれば、憧れで終わらず目指してみるべき。
その理由は、FIREへの道のりは非常に得るものが多いからです。
FIREを目指す道のりにムダはなく得るものが多い
例えば、30歳の方が40歳でFIREすることを目指して努力したにもかかわらず、残念ながら10年ではFIREできなかったとします。
この10年の努力は無駄になるでしょうか?
仮にFIREという目標が達成できなかったとしても得るものは非常に大きいといえます。
FIREを目指せば、下記のものが手に入ります。
- 稼ぐ力(人的資本)の向上
- 金融リテラシーの向上
- ムダを削減したコンパクトな生活
FIREを目指すためには、収入を上げる努力が必要なので稼ぐ力(人的資本)が向上しますし、資産運用を検討すれば、金融リテラシーが上がります。
ムダな生活費を削減すれば、コンパクトな生活も可能。
また、FIREするために必要な資産額を達成できなくても、そこまでに積み上げた資産は無駄になるどころか大きな財産です。
例えば、5000万円という目標に対して3000万円しか資産を積み上げられなかったとしても、3000万円から4%である年間120万円(月額10万)の不労所得が得られれば、今の生活を豊かにしてくれます。
まとめ
日本の平均的な年収の方がインデックス投資でFIREすることは難しい。
しかし、FIREしたいという方が努力することには、一切の無駄はありません。
その理由は、FIREを目指すことにより下記のようなメリットが得られるから。
- 稼ぐ力(人的資本)の向上
- 金融リテラシーの向上
- ムダを削減したコンパクトな生活
更に、FIREするために必要な資産額を達成できなくても、そこまでに積み上げた資産は無駄になるどころか、大きな財産となります。