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ジュニアNISAと学資保険を比較|教育資金の積立におすすめなのはどっち?


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教育資金は、住宅資金や老後資金などと同様に人生の中で、大きなウェートを占める費用の1つです。

 

子供の教育資金をどのように貯めるべきか頭を痛めている方も多いでしょう。

 

教育資金の積立を検討すると、ジュニアNISAの情報を目にすることが多いと思いますが、どのような制度なのかをよく知らない方も多いのではないでしょうか。

 

ジュニアNISAとはどのような制度なのでしょうか?また、教育資金の積立に使える制度なのでしょうか?

 

今回は、ジュニアNISAのメリット・デメリットと、学資保険と比較して教育資金の積立におすすめできるのかなどについて解説したいと思います。

 

 

1.ジュニアNISAとは?

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ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)とは、子供の将来に向けての資産形成をサポートする2016年にスタートした投資非課税制度。

 

ジュニアNISAを「こどもNISA」と呼ぶ方がいますが、正式名はジュニアNISAです。

 

ジュニアNISAの口座を開設できるのは、日本に住む0歳~19歳の未成年者ですが、実際に口座管理や運用を行うのは、親や祖父母などとなります。

 

ジュニアNISAが利用できる期間は、2016年から2023年まで。残念ながら2023年で制度の廃止が決まっています。 

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ジュニアNISAは、「一般NISA」の子ども版といった制度です。 

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2.ジュニアNISAのメリット

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ジュニアNISAのメリットは下記の通りです。

 

運用益が非課税

ジュニアNISAのメリットは、通常、株式や投資信託などの売却益や配当金・分配金にかかる20.315%の税金が非課税となる点。

 

非課税枠は年間80万円であり、非課税期間は最長5年間。よって、非課税投資枠は最大400万円となります。

 

ジュニアNISAで非課税となる対象商品は、上場株式株式投資信託ETF(上場投資信託)REIT(不動産投資信託)など。

 

なお、ジュニアNISA用に投資資金を親や祖父母などが準備すれば、贈与税の課税対象となります。ジュニアNISAの非課税投資枠である80万円以内であれば、贈与税はかかりません。

 

しかし、ジュニアNISA用以外にも贈与を行っている場合で、1年間(1月1日~12月31日)で子供への贈与額が110万円(基礎控除)を超えた場合、110万円を超えた部分が贈与税の課税対象となるので、注意が必要です。

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運用資産を非課税でロールオーバーすることが可能

ジュニアNISAは非課税期間終了時に一般NISAと同様に翌年の非課税期間に運用資産を移すロールオーバーが可能ですが、2019年以降の非課税枠には、ロールオーバーをする翌年の非課税枠はありません。

 

2024年から2028年の年初においては、ロールオーバーする非課税枠はありませんが、「継続管理勘定」に所有する金融商品を移すことができます。

 

「継続管理勘定」に資産を移せば、引き続き20歳まで非課税で運用を続けることが可能

 

ただし、「継続管理勘定」では、金融資産の売却はできますが、新規の買い付けはできませんので、注意が必要です。

 

なお、ジュニアNISA制度の期間内に子供が20歳になる場合には、一般NISA口座に資産を移すことができます。

 

【ジュニアNISA制度期間内に20歳になる場合】

ジュニアNISA制度期間内に20歳になる場合のイメージ図

 

  

【20歳になる前にジュニアNISA制度が終了してしまう場合】

20歳になる前にジュニアNISA制度が終了してしまう場合

(出典:金融庁HP

 

 

3.ジュニアNISAのデメリット

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さて、ここからは、ジュニアNISAのデメリットを確認するとともに、教育資金の積立時にジュニアNISAを利用する場合の注意点を解説したいと思います。

 

デメリット1:運用資産の一部払い出しができない

ジュニアNISAは、18歳になるまで口座からの払い出し制限があり、非課税で資金を引き出すことはできませんでした。

 

2023年の制度廃止以降は、払い出し制限が撤廃されますが、ジュニアNISAには下記のような使い勝手の悪い面があります。

 

教育資金は塾代などで途中払い出しが必要となるケースがあるでしょう。

 

しかし、ジュニアNISA口座からは資金の一部を引き出すことはできず、資産を引き出すにはジュニアNISA口座を終了する必要があります。

 

教育資金の準備に利用するには不向きな面があります。

 

デメリット2:元本割れする可能性がある

ジュニアNISAは、子供向けのNISAではあっても、運用する商品は株式や投資信託などなので、元本割れする可能性があります。

 

制度の名前がジュニアと付いているので、リスクが低いイメージを持ってしまう方がいるかもしれませんが、一般に投資する場合とリスクの高さは全く変わりません

 

教育資金はいつ必要になるかわからないので、元本割れする商品で運用するのはリスクがあります。

 

また、仮に、予定通り子供が18歳まで運用していたとしても、大学入学時などに運用状況がプラスである保証はどこにもありません。

 

教育資金として必要となった時にリーマンショック級の下げ相場がきている可能性もあります。

 

デメリット3:ジュニアNISAは金融機関を変更できない

「一般NISA」は口座を開設している金融機関を変更することができますが、ジュニアNISAは原則、金融機関の変更はできません。

 

金融機関を変更するには、一度口座を廃止する必要があります。口座を解約すると、過去に非課税扱いだった運用益が全て課税対象となってしまいます。

 

よって、口座を開設する場合は、十分検討したうえで金融機関を選び、途中で金融機関を変更する必要がないようにしておくことが重要。

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4.ジュニアNISAと学資保険の比較|違いはどこにある?

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ジュニアNISAと学資保険を比較した違いは、下記の通りです。

 

元本が保証されているか?

ジュニアNISAは、リスクのある投資商品に資金を投入することになるので、元本保証ではありません。

 

運用の仕方によっては、大きく元本割れする可能性もゼロではありません。

 

一方、学資保険は加入時点で、満期時や解約時に受け取れる金額が決まっています。

 

運用状況によって、受け取る額が大きく異なるジュニアNISAのように受け取る額が変わることはありません。

 

ただし、加入する学資保険によっては、満期まで継続しても支払った保険料に対して受け取る満期保険金(学資金)の方が少ない元本割れを起こす商品もあります。

 

全ての学資保険が元本保証ではない点には、注意が必要です。

  

途中解約時の元本割れ

学資保険は、満期まで継続しないと、ほとんどの場合で元本割れを起こします。よって、学資保険は満期まで継続することが重要。

 

一方、ジュニアNISAは、運用状況によっては、早期に現金化してもプラスを維持できる可能性があります。

 

保障機能の有無

学資保険には保障機能があり、契約者である親が死亡したり、高度障害状態などになった場合には、以後の保険料の支払いが免除されます。

 

保険料の支払いが免除されても、契約時に設定した満期保険金(学資金)を受け取れる保障機能が付いています。

 

一方、ジュニアNISAには、保障機能はありません。

 

 

5. 教育資金はどのように積立すべきか?

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ここまで、ジュニアNISAや学資保険について確認してきましたが、結局、教育資金は、どのように準備すべきなのでしょうか?

 

学資保険はおすすめできない?

学資保険は下記記事で解説した通り、返戻率が低く、満期まで継続しても元本割れする学資保険もあります。

 

また、途中解約時にはほぼ確実に元本割れしますので、現在の学資保険で教育資金の積立を行うことはおすすめできません。 

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学資保険には保障機能がありますが、保障は安い掛け捨ての定期保険で手当するという割り切りも必要でしょう。

 

ジュニアNISAでの教育資金積立はおすすめか?

学資保険がおすすめできないのであれば、ジュニアNISAがおすすめかといえば、そう単純でもありません。

 

教育資金は、子供が18歳になるまでの間にも必要となる可能性も高いので、ジュニアNISAを活用するのであれば、上記のデメリットを十分理解した上で活用する必要があります。

 

なお、子供の教育資金の積立だからと、ジュニアNISAの利用にこだわる必要はありません。

 

ご自身や配偶者の「つみたてNISA」や「一般NISA」枠が空いているのであれば、その枠を使うのも一つの手。

 

「つみたてNISA」や「一般NISA」であれば、一部資産の解約も可能ですし、いつ現金化しても非課税です。

 

ただし、ジュニアNISAと同様に運用状況によっては、元本割れの可能性がありますので、注意が必要です。

 

個人向け国債の活用

個人向け国債(変動10年)を活用するという方法もあります。

 

個人向け国債(変動10年)であれば、1万円から購入できますし、購入から1年が経過すれば、元本割れすることなく、現金化が可能

 

また、どんなに金利が低い状態でも最低0.05%の利率が保証されています。

 

途中引き出しの可能性がある教育資金の積立には、ある程度、かたい方法が向いています。  

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以前、私も教育資金の積立にジュニアNISAを利用しようと考えていましたが、上記のようなデメリットもあるので、教育資金の積立にはジュニアNISAを利用してません。

 

ジュニアNISAは、教育資金とは別の余裕資金で投資信託の積立に活用。

 

子供が20歳になった時などに、子供に保有資産の管理を引き継ぎたいと思っています。

 

私のジュニアNISA利用の目的は、子供のための資産形成と、資産運用の素晴らしさを子供に理解させること。

 

資産運用の大切さを理解し、その後もコツコツと運用を続けて欲しいという願いを込めて、ジュニアNISAを利用しています。

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まとめ

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教育資金の積立としては、学資保険はおすすめできません。

 

また、ジュニアNISAについても教育資金の積立への利用は、強くおすすめできませんが、メリットのある制度であることは間違いありません。

 

上記の通り、私も自分の子供のためにジュニアNISAを利用しています。ただし、利用の目的は、教育資金の積立ではありません。

 

教育資金を元本割れの可能性のある方法で全て積み立てるのはリスクがあり、途中引き出しの可能性を考慮すべきでしょう。

 

教育資金の大部分は元本割れの可能性がない個人向け国債などで準備し、余裕資金でジュニアNISAを使うという方法が個人的にはおすすめです。