NISA制度は「一般NISA」と「つみたてNISA」が有名ですが、「ジュニアNISA」という20歳未満の方向けの制度もあります。
お子さんがいる方でも、ご存じないケースがあるかもしれません。
「ジュニアNISA」制度は2023年末で廃止となります。
あと約2年半で廃止されてしまう予定の制度ですが、使えない制度というわけではありません。
20歳未満の方が使える非課税枠をミスミス逃す手はありません。
「ジュニアNISA」制度を利用しようと思っていた方の中には、「廃止寸前の制度を今から利用するメリットはあるのか?」や「運用資産は廃止後にどうなるのか?」といった疑問を持っている方もいるでしょう。
そこで今回は廃止予定のジュニアNISA制度について解説します。
- ジュニアNISAとは?
- ジュニアNISA制度が2023年で廃止される理由とは?
- ジュニアNISA制度廃止後も非課税で資産の保有が可能
- 廃止前にジュニアNISA制度を利用するメリットはある?
- ジュニアNISA口座で何に投資すべきか?
- まとめ
ジュニアNISAとは?
ここで簡単にジュニアNISAについて解説したいと思います。
ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)とは、子供の将来に向けての資産形成をサポートする2016年にスタートした投資非課税制度。
ジュニアNISAを「こどもNISA」と呼ぶ方がいますが、正式名はジュニアNISAです。
ジュニアNISAの対象者
ジュニアNISAの口座を開設できるのは、日本に住む0歳~19歳の未成年者ですが、実際に口座管理や運用を行うのは、親や祖父母などとなります。
ジュニアNISAを利用できる期間は、2016年から2023年まで。
ジュニアNISAは、「一般NISA」の子ども版といった制度です。
ジュニアNISAの非課税投資枠
ジュニアNISAも一般NISAと同様に、通常、株式や投資信託などの売却益や配当金・分配金にかかる20.315%の税金が非課税となります。
非課税投資枠は年間80万円であり、非課税期間は最長5年間です。非課税投資枠は最大400万円。
しかし、2023年で制度が終了する予定なので、今年から利用すると非課税投資枠は最大240万円。
ジュニアNISAで非課税となる対象商品は、上場株式、株式投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)などです。
ジュニアNISA制度が2023年で廃止される理由とは?
ジュニアNISA制度が廃止される理由は人気がなかったから。
2020年12月末時点(速報値)の口座数は一般NISAが約1,221万口座、つみたてNISAが約303万口座に対して、ジュニアNISAは約45万口座。
ジュニアNISAが不人気である最大の原因は、使い勝手の悪さです。
ジュニアNISAは、18歳になるまで口座からの払い出し制限があり、資金を引き出すには口座を廃止する必要があります。
教育資金の準備としてジュニアNISAを活用する場合、塾代などで途中払い出しが必要になる可能性があります。
しかし、ジュニアNISA口座から途中引き出しをする場合には、非課税だった過去の運用益の全てが課税対象(災害などやむを得ない場合に限り非課税で払い出し可能)となってしまいます。
ジュニアNISAには、上記のようなデメリットがあるため、教育資金の準備には活用しにくく、人気がなかったのでしょう。
廃止に伴う制度変更で「ジュニアNISA」の使い勝手が改善
上記の通り、今までのジュニアNISAは非課税での途中払い出しができず、人気がなかったのですが、2023年の制度廃止に伴って払い出し制限を撤廃。
2023年末のジュニアNISA制度廃止後である2024年1月1日以降は、18歳までの払い出し制限が撤廃され、非課税で途中払い出しが可能となっています。
ジュニアNISAの不人気の原因だった非課税での払い出し制限が撤廃され、使い勝手が良くなる予定です。
ジュニアNISA制度廃止後も非課税で資産の保有が可能
ジュニアNISA口座で投資した金融商品については、5年間の運用期間が終了した後も非課税で保有が可能。
例えば、2021年の非課税枠で投資した投資信託は、ジュニアNISAで保有できるのは2025年まで。
その後、継続管理勘定に移せば、新規の投資はできませんが、子どもが成人するまで売却益や配当金・分配金が非課税となります。
更に、成人後に保有する投資信託などを一般NISA口座に移すことも可能。
金融商品を継続管理勘定に移すには手続きが必要
ジュニアNISA口座で投資した金融商品を継続管理勘定に移すには、ジュニアNISA口座を開設している金融機関に「依頼書」を提出する必要があり、未提出だと課税口座に移されてしまいます。
なお、継続管理勘定から一般NISA口座への移行時も同様に手続きが必要となる点には注意が必要。
廃止前にジュニアNISA制度を利用するメリットはある?
ジュニアNISAは2023年末に終了してしまう予定ですが、ジュニアNISAが全く使えない制度というわけではありません。
他のNISAの利用には20歳以上という年齢制限がありますので、20歳未満の方が非課税枠を活用するには、ジュニアNISAしかありません。
ジュニアNISA制度は使い方によっては非常にメリットがある制度です。
ジュニアNISAを活用した教育資金準備はおすすめできない?
18歳までの非課税での払い出し制限が撤廃されるジュニアNISA制度ではありますが、教育資金の準備への積極的な活用はおすすめできません。
投資信託などで運用すると、教育資金として必要な時に元本割れしている可能性があります。
また、塾代などで途中払い出しが必要となった場合、ジュニアNISA口座からは資金の一部を引き出すことができず、ジュニアNISA口座を終了する必要があります。
上記のようにジュニアNISAには使い勝手が悪い部分があり、教育資金の準備に利用するには不向きな面も。
では、どのようにジュニアNISAを活用すべきでしょうか?
全く手を付ける予定の無いお子さんのお金が残っていないでしょうか?
子供が成人してから渡すつもりのお金があるのであれば、それをジュニアNISA口座に入れて長期で運用するという活用方法があります。
私も子供のためにジュニアNISAを活用していますが、利用の目的は教育資金の準備ではありません。
教育資金は別で積み立て、ジュニアNISAは子供が受け取ったお年玉や祖父母などから受け取ったお祝いなどの余剰資金を置いておく場所として活用しています。
子供が20歳になった時などに、子供に保有資産の管理を引き継ぎたいと思っています。
私の「ジュニアNISA」利用の目的は、子供のための資産形成と、資産運用の素晴らしさを子供に理解させること。
資産運用の大切さを理解し、子供が大人になってからもコツコツと運用を続けて欲しいという願いを込めて、ジュニアNISAを利用しています。
生前贈与を利用したジュニアNISA活用法
教育資金の準備には使いづらいジュニアNISAですが、暦年贈与を利用した活用方法もあります。
例えば、お子さんが小さい頃から贈与を行っている方もいらっしゃるでしょう。また、お孫さんへ贈与されている方も多いと思います。
贈与したお金は無駄遣いせず、お子さんが大きくなってから使って欲しいという願いがあるのであれば、ジュニアNISAを活用するのも1つの方法。
ジュニアNISAの年間非課税投資枠である80万円までの贈与であれば、贈与税の基礎控除(110万円)内なので、贈与税はかかりません。
ジュニアNISA口座の管理は親や祖父母などが行うので、子供や孫によるムダ遣いが防げます。
また、18歳になるまでの払い出し制限は撤廃されますが、現金で置いておくよりも贈与したお金のムダ遣いを防ぐ壁になります。
ジュニアNISA口座で何に投資すべきか?
ジュニアNISAを活用する目的は、子供が成人するまでの長期での資産運用が目的という方がほとどでしょう。
長期の資産運用を考えているのであれば、個別株への投資は避けた方が無難。
個別株は長期で保有することが難しいケースも考えられますが、ジュニアNISAの非課税枠は一度売却してしまうと、再利用はできません。
よって、長期の資産運用が前提であれば、投資信託やETFが選択肢となります。
ちなみに、私はジュニアNISA口座では全世界株式型のインデックスファンド(投資信託)で運用しています。
ジュニアNISAでの積立投資も可能
ジュニアNISA口座でも積立投資が可能。
ジュニアNISA口座の年間非課税枠は80万円なので、毎月6.6万円ずつ投資信託などを積み立てることもできます。
私もジュニアNISA口座ではインデックスファンド(投資信託)で積立投資をしていますが、必ずしも積立投資にこだわる必要はありません。
運用期間が子供が成人するまでの少なくとも20年程度の長さになる前提であれば、非課税枠の80万円程度の金額は一括投資しても問題ないでしょう。
一括投資により多少の高値づかみになっても、長い運用期間で考えれば、誤差の範囲内です。
なお、私のジュニアNISA口座での投資スタンスは、コロナ後の株高局面の現状では積立投資を継続。
何かのきっかけで株式市場が暴落することがあれば、そこでまとまった額の余剰資金を投入する予定です。
ジュニアNISAの非課税投資枠を使い切る必要はない!
ジュニアNISAの非課税投資枠である年間80万円は、使い切る必要はありません。余剰資金の範囲内での運用も可能。
私もジュニアNISAを利用していますが、年間の非課税投資枠(80万円)を使い切ってはいません。
余裕があるのであれば、非課税投資枠を使い切るのがベストですが、そこまで余裕がないのであれば、投資できる範囲内で活用することも可能です。
まとめ
ジュニアNISA制度は2023年末で終了予定。
廃止されてしまいますが、ジュニアNISA制度が全く使えない制度というわけではありません。
非課税での出し制限が撤廃されることや制度廃止後も非課税で資産を保有し続けられることもあり、廃止までの残り期間でも「ジュニアNISA」を活用するメリットがあります。
なお、ジュニアNISA制度は使い勝手が悪い部分があるため、教育資金積立の活用にはおすすめできません。
子供や孫の将来のための資産形成や、金融教育のためにジュニアNISA制度の活用を検討されてはいかがでしょうか?