「生命保険で資産運用は可能なのか?」「生命保険は「貯蓄型」と「掛け捨て型」のどちらに加入すべき?」と聞かれることがあります。
保険で資産運用することは可能なのでしょうか?
結論から申し上げると、保険を使った資産運用は可能。
ただし、保険を使った資産運用には理解しておくべきデメリットがあり、デメリットを押さえたうえで活用すべきです。
今回は、保険を使った資産運用について解説します。
- 1.「貯蓄型の保険」と「掛け捨て型の生命保険」はどちらに加入すべき?
- 2.資産運用に活用できる生命保険とは?
- 3.保険を使った資産運用のデメリットとは?
- 4.保険を使った資産運用のメリットとは?
- 5.保険を使った資産運用が向いている人
- 6.保険使った資産運用が向いていない人
- まとめ
1.「貯蓄型の保険」と「掛け捨て型の生命保険」はどちらに加入すべき?
保険は掛け捨てにして、資産運用と保険は別にした方がいいという考え方があります。
保険での資産運用は可能ですが、上記のように保険(保障)と資産運用を分けるという考え方もあります。
「貯蓄型の保険を使って運用する」か「保険と運用は分けて考える」かは、それぞれの方の考え方や好みにより、どちらかを選んだらいいでしょう。
保険を使った資産運用にはメリットとデメリットがあるので、それを理解して、ご自身に合っていると思えば、保険を使って資産運用を行う。
逆に保険を使った資産運用は自分には合っていないと感じるのであれば、保険(保障)は掛け捨てにし、資産運用とは分けて考えればいいでしょう。
2.資産運用に活用できる生命保険とは?
資産運用に活用できる保険にはどのような商品があるのでしょうか?
「貯蓄型」と呼ばれる生命保険には、終身保険や養老保険、個人年金保険などがあります。
積立型保険は万が一の場合の保障だけでなく、途中解約すれば解約返戻金が受け取れます。
また、満期のある養老保険などの商品では、満期時に満期保険金が受け取れます。
貯蓄型保険は保障を確保するとともにお金も貯まる一石二鳥の商品ですが、保険でお金を貯めることにはデメリットもあることは理解しておくべき。
また、最近では日本銀行(日銀)の金融緩和政策による低金利の影響で、円建て定額の終身保険や養老保険などは予定利率が下がり、運用商品としての魅力はほぼありません。
よって、現在では外貨建ての生命保険や変額保険が資産運用商品としては主流になっています。
外貨建ての生命保険には為替リスクがありますし、変額保険の場合には特別勘定の運用状況によって元本割れの可能性があります。
つまり、保険を活用した資産運用は、以前のような円建て定額保険にはないリスクも負うことになる点には注意が必要。
3.保険を使った資産運用のデメリットとは?
ここでは、具体的に保険を使った資産運用にはどのようなデメリットがあるのかを解説したいと思います。
・途中解約にはリスクがある
生命保険で資産運用する場合に最も避けるべきことは、早期の途中解約。
予定よりも短い期間で保険を解約してしまうと、支払った保険料を解約返戻金が下回る元本割れが発生する可能性があります。
特に早期に生命保険を解約すると解約返戻金が全くないか、ごく少額になってしまう可能性が高くなります。
外貨建ての生命保険や変額保険には解約控除というペナルティーがあるので、短期での解約には大きなデメリットが発生。
保険で資産運用をすると、加入当初は極めて流動性が下がるというデメリットがある点には注意が必要です。
・保障料などの費用(コスト)がかかる
保険での資産運用には保障が付くメリットがある反面、保障料(保険料)というコストが発生。
例えば、変額保険の保険料を支払った場合、その全額が積み立て(運用)に回るわけではなく、保険料から保障料や各種費用が差し引かれ、その残りが積み立て(運用)に回ります。
ここが、保険を使わずに資産運用をした場合には発生しないコストになります。
4.保険を使った資産運用のメリットとは?
逆に保険を使った資産運用のメリットについて解説します。
・保障を確保しながら、運用もできている
保険を使って資産運用をすると、保障を確保しながら気付いたらお金も増えていたという状態が作れます。
配偶者やお子さんなど扶養すべき方がいて保障が必要な場合、保険に加入する必要があるので、そこに運用をプラスすることで保険料を払っていたら資産形成もできていたという状況が作れます。
・証券口座開設や商品選択の労力が不要
証券口座の開設や運用商品の選択は投資を躓かせる大きな要因の1つだと思います。
どの投資信託にするか、どの企業の株を買うかなど、投資先を選んでいる間にモチベーションが下がってしまう方もいるでしょう。
しかし、保険の場合、証券口座を開設する必要がありませんし、運用先を選ぶことにそれほど労力は必要ありません。
例えば、証券会社で投資信託を選ぶ場合は数百や数千商品の中から選ぶ必要がありますが、変額保険の場合、選べる特別勘定が複数個に絞られています。
変額保険の場合には加入する際に特別勘定を選ぶことにより、保険料の一部が運用されます。
5.保険を使った資産運用が向いている人
さて、ここまで保険を使った資産運用のメリット・デメリットを解説しましたが、保険を使った資産運用が向いている方とはどのような人でしょうか。
自分で貯蓄ができない方は保障を確保しながら、資産運用もできる保険での資産運用が向いています。
お金があると使ってしまうような方は、保険料として保険会社に支払うことによって、手元から使えるお金が無くなって無駄遣いを防ぐことが可能。
ただし、途中解約には大きなデメリットが発生する可能性がありますので、途中で払えなくなるようなムリな保険料で加入しないことが重要となります。
また、個別の株式などを自分で選んで投資するのは面倒とか、忙しくて時間がないという方も保険を使って資産運用を考えてもいいでしょう。
6.保険使った資産運用が向いていない人
逆に保険を使った資産運用が向かい方とはどのような人でしょうか。
自分でコツコツ積立貯蓄や投資ができる方は、保険にムダなコストを掛けずに保険は掛け捨てで最小限のコストに抑え、投資信託の積立投資などでコツコツ運用する方が向いています。
保険で運用すると、保険関連の費用部分がムダなコストになる可能性があります。
また、子供がいない、独身で養うべき人がいないなどで、保障の全く不要な方も保険で運用するとムダなコストが掛かってしまいますので、保険での資産運用は向いていません。
まとめ
保険を使った資産運用には、上記のようなメリットとデメリットがあります。また、保険での資産運用が向いている方と向かない方がいます。
保険は資産運用には使えないと短絡的に結論を出すのではなく、大切なことは保険を使った資産運用の特徴を知ること。
保険を使った資産運用のデメリットが納得できるのであれば、保険を活用すればいいでしょう。
保険のメリットを大いに活用できる方は、保険を使った資産運用も検討して頂ければと思います。
なお、「積立型保険」には保障料などのコストが発生します。
よって、資産運用を主目的とした「積立型保険」への加入は、おすすめできません。
資産運用だけが目的であれば、「インデックス投資」などを検討すべきです。