金融リテラシーの一部を気軽に確認できる「金融リテラシークイズ」をご存知でしょうか?
簡単なクイズに答えることによって、ご自身の金融リテラシーの高さを確認できます。
今回の記事では、金融リテラシークイズを使って身近な金融商品の選択に役立つ知識を解説したいと思います。
今回、解説する内容は下記の通り。
- 金利上昇局面では、どのような考え方をすべきか?
- 金利上昇局面では、どのような投資商品を保有すべきか?
- 逆に、金利上昇局面で手を出してはいけない金融商品とは? など
金利上昇に備えたいという方は参考にして下さい。
- 1.金利が上がるときには固定・変動どちらで運用すべき?
- 2.金利が上昇する局面で運用商品を固定金利にするデメリット
- 3.貯蓄型の生命保険での資産運用をおすすめしない理由
- 4.金利上昇局面では個人向け国債(変動10年)もおすすめ
- 5.金利はいつ上がる?
- まとめ
1.金利が上がるときには固定・変動どちらで運用すべき?
金融リテラシークイズの中に下記のような問題がありますが、下記問題の解答がわかるでしょうか?
金利が上がっていくときに、資金の運用(預金等)、借入れについて適切な対応はどれでしょうか。
① 運用は固定金利、借入れは固定金利にする
② 運用は固定金利、借入れは変動金利にする
③ 運用は変動金利、借入れは固定金利にする
④ 運用は変動金利、借入れは変動金利にする
⑤ わからない
同じような言葉が並んでいるので頭が混乱しそうですが、正解は『③運用は変動金利、借入れは固定金利にする』です。
なぜ、金利上昇局面では運用は変動金利にすべきなのでしょうか?
2.金利が上昇する局面で運用商品を固定金利にするデメリット
世の中の金利が上昇する局面で金利が固定された商品を保有していると、高金利の恩恵を受けることができなくなります。
例えば、年利1%の固定金利商品を保有している際に世の中の金利が2%に上がった場合、金利が固定されている商品は適用金利が変動しないので、2倍に上がった金利の恩恵を受け損ねてしまうことになります。
保有している固定金利商品を元本割れなしで解約できれば、次の高金利商品に乗り換えることができますが、途中解約時に元本割れする商品であれば、高金利商品への乗り換えが難しくなってしまう。
金利が上がる局面では適用金利が固定されている商品を保有していると、上記のようなデメリットが発生。
金利上昇局面では、適用金利が見直される変動金利型の商品を選ぶことがポイントとなります。
逆に金利が下がっていくような局面では、固定金利の商品を選択することが正解ということになります。
3.貯蓄型の生命保険での資産運用をおすすめしない理由
上記の理論を理解すると金利上昇局面では、どのような商品を選択すべきかが分かるだけでなく、手を出してはいけない金融商品についても理解できるようになります。
例えば、金利上昇局面で下記シミュレーション例のような貯蓄型の生命保険に加入することはお得なのでしょうか?
商品:終身保険
死亡保険金:500万円
被保険者:20歳男性
月額保険料:7,725円
払込期間:40年(60歳払済)
払込累計:3,708,000円
解約返戻金:4,301,850円(保険料払込期間満了直後)
返戻率:116%
上記のシミュレーションを見て、返戻率が116%で高いと思った方は要注意。
40年間で116%にしかならないという視点を持つべき。
保険料払込満了時の返戻率は116%でも、積立利率を計算すると年利約0.73%です。
年利0.73%でも現在の金利情勢から考えれば高いと思われるかもしれませんが、上記の終身保険は予定利率が固定されているので、金利が上がっても予定利率が上がることはありません。
つまり、一般的な貯蓄型(積立型)の生命保険は、固定金利の金融商品ということです。
現在の金利の状況は、ご存知の通りかなり低い状況で、これ以上下がることはないような状況。
今、貯蓄型の生命保険に加入すると超低金利の商品に40年間、保険料を支払い続けることになってしまいます。
更に生命保険の大きなデメリットとして、保険料の払込期間途中で解約した場合、元本割れするというポイントがあります。
今回シミュレーションした終身保険は低解約返戻金型という保険料払込期間中の解約返戻金を低く抑えている商品なので、保険料を払い込んでいる間に解約すると通常の終身保険に比べて大きく元本割れ。
上記のことから、生命保険は非常に途中解約がしにくく、長期で資金を固定してしまうというデメリットがあることが分かります。
生命保険も市場金利の影響を強くうけ、生命保険の運用利回りである予定利率は史上最低水準。
そのような状態の生命保険に40年間も資金を固定していしまうリスクは非常に高いと考えるべきです。
資産運用を目的とした貯蓄型(積立型)生命保険への加入はおすすめできない
そもそも生命保険は保障がメインの商品なので、資産運用を主目的とした加入はおすすめできません。
貯蓄型(積立型)の保険であっても保障料などの諸経費が差し引かれますので、支払った保険料全てが積み立てられているわけではありません。
生命保険で資産運用をすると、保障料などの諸経費が余分な経費となってしまいます。
よって、資産運用が目的であれば、つみたてNISAや個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)などを活用すべきです。
4.金利上昇局面では個人向け国債(変動10年)もおすすめ
金利が上昇する局面では、株式などでの資産運用も1つの方法。
金利が上昇するような状況下では、資産価格も上がる傾向があります。
しかし、元本割れするような投資商品には手を出したくないという場合には、個人向け国債(変動10年)がおすすめです。
個人向け国債(変動10年)は、10年満期の個人向け国債。
半年毎に適用する利率が変わる「変動金利」を採用していて、適用利率は「基準金利×0.66」。
市場の金利の動きに応じて適用される利率が半年ごとに変動しますので、金利上昇局面では高くなる金利の恩恵を取り損ねることがありません。
上記の通り、個人向け国債(変動10年)は市場金利が上がれば、受取利子も増えることになりますが、 逆に金利が下がった場合には、受取利子は下がりますので注意が必要です。
ただし、市場の金利が下がった場合でも年利0.05%は保証されます。
5.金利はいつ上がる?
金利はいつ上がるのでしょうか?
正確な時期は、誰にも分かりません。
ただ、現状でいえることは、現在の金利は史上最低の状況でこれ以上は下がりようのないレベルにあるということ。
現在のような低金利の状態で固定金利商品を保有することは、デメリットの方が大きいのは間違いありません。
今後は、銀行などにお金を預けているだけで、口座維持手数料を取られるマイナス金利時代がくるかもしれませんので、一部の資産を個人向け国債(変動10年)に入れておくなどして、マイナス金利を避けながら金利が上がることも想定した商品選びが重要となります。
まとめ
金融リテラシーを上げることにより、手を出してはいけない金融商品をつかまされる可能性も下げることができます。
例えば、生命保険は最終的な返戻率だけに注目してしまうと、いい商品に思えてしまうかもしれませんが、少し金利のことについて知るだけで、その実態を見抜くこともできるでしょう。
金融リテラシーと聞くと、投資をする際に必要となる知識と思われがちですが、実は、生命保険のような身近な金融商品を検討する際にも役立つものです。
毛嫌いすることなく、ご自身に関係ある部分からでも習得して頂ければと思います。