日本では「賃貸は家賃がもったいない」や「住宅ローンを返済すれば持ち家は資産になる」というような常識を持っている方が多いと感じます。
また、周りの人達が家を買うから自分も買うという方も多いのが現状。
しかし、常識(正解)は時代とともに変化しています。家は買うべきという常識も今の時代に合っているかを考慮すべき。
これからの時代は、家(不動産)の購入は慎重に検討すべきです。
そこで今回は以下の本の中から、持ち家を購入する際に考慮すべき下記3ポイントを解説します。
- 家を買うことは当たり前ではない
- 家を買うリスク
- 家を買うことは不動産投資と同じ
『人生を自由に生きたい人はこれだけ知っていればいい お金で損しないシンプルな真実 山崎元』
家を買うことは当たり前?
家の購入は人生最大の買い物という方がほとんどでしょう。
山崎さんは、家を買う選択は自明ではないと指摘。
これからの時代、家を買うことは当たり前という常識は捨てるべきでしょう。
不動産などの資産価値が上がっていく右肩上がりの経済の時代は、資産価値の上がる家を買うことは正解でした。
しかし、時代は変わりました。
今後は、一部の物件を除いて家(不動産)の資産価値は下がり続ける可能性があると考えるべき。
少子高齢化が進む日本で、空き家が増えていくことは容易に想像できます。
野村総合研究所によると、2013年の総住宅数は6,062万9千戸、空き家数は819万6千戸、空き家率は13.5%。
既存住宅の除却や、住宅用途以外への有効活用が進まなければ、2033年には総住宅数7,106万7千戸、空き家数2,146万6千戸、空き家率30.2%に上昇するとのこと。
人口減少が進み、空き家が増加している日本ではほとんどのケースで持ち家の資産価値は下がると思った方が無難。
持ち家が欲しいという強い願望があるのであればいいですが、他の人達が買っているからといった安易な理由での購入はさけるべき。
「家賃はいくら払っても払い損になる。住宅ローンを払い終われば資産になる」という営業トークに騙されてはいけません。
長期の住宅ローンを払い終われば、建物の価値はゼロどころか修繕も必要。更に土地の値段が下がっていれば、ダブルパンチです。
持ち家と賃貸のどちらが得か?
持ち家と賃貸のどちらが得かという論争がありますが、切り口を変えれば、どちらにもメリットとデメリットがあります。
よって、価値観の関わる問題でもあるので結論の出る話ではありません。
賃貸と持ち家のどちらが得かという論争は、前提条件によりケースバイケースで損得は異なります。
家を持つことによる心の豊かさなど精神的な面については金銭に換算できないので、家を買うことについての損得は一概には判断できません。
家を買うリスクとは?
山崎さんは不動産投資には、おおむね株式投資なみのリスクがあると指摘。
株式投資を始めようと考えた場合、手元に1000万円の資金があったとしたら、その全額を投入するということに不安を感じる方が大半のはず。
しかし、家の購入となると、なぜか1000万円の自己資金を頭金にして5000万円の不動産をローンを組んで購入するというケースでも不安を感じる方は少ないでしょう。
不動産の場合、株価のように価値が大きく変動することをイメージしにくいのが理由でしょう。
不動産の購入を株式投資で例えると、ある土地に立っている家という銘柄に何千万円もの資産を全額投資するのと同じことです。
しかも自己資金が1000万円しかなくても住宅ローンによって5000万円という額を投資することも可能。
株式投資で例えると、レバレッジをきかせて自己資金の何倍もの取引を行う信用取引に相当します。
人口減少により住む人が減っていく日本で不動産に投資するということは、需要と供給の面で非常に不利な勝負になるのは明らか。
そのような状況の中、住宅ローンというレバレッジをきかせて自己資金の何倍もの不動産を購入するのは、リスクが高いことと認識しておく必要があるでしょう。
住宅ローンの危険性
また、現在の低金利の影響で住宅ローンが借りやすくなっている中、無理な住宅ローンの危険性についても考える必要があります。
家を買う際に頭金なし、35年のフルローンという方も少なくありません。
35年間も借金を返済するとなると、今の仕事が継続するのか、今の収入が維持できるのか、など不確実な部分が多々あります。
ローン返済が苦しくなれば、途中で売ればいいという方もいますが、フルローンを組んでいる方は債務超過(家の資産価値<ローン残高)の状態になっている可能性も。
債務超過(オーバーローン)の場合、家を売ってもローンだけは残るという悲惨な状況に陥る可能性があり、最悪、自己破産ということになります。
頭金なしのフルローン・35年返済だと、このオーバーローンの状態が解消されるまでに20年~30年かかることに。
また、家を買うと固定資産税や修繕積立金、管理費、建物の火災保険料などの賃貸ではかからない経費がかかります。
住宅ローンの返済が終わっても月2~5万円程度のランニングコストはかかる点にも注意が必要です。
家を買うことは不動産投資と捉えるべき
山崎さんは、家を買うということは基本的に「不動産に投資する」ことだと捉えるべきと指摘。
自分が住む家を買うことが投資になるのかと疑問に感じる方もいるでしょう。
しかし、人生には予測ができない変化がしばしば起こり得ます。
仕事で転勤になった場合、住んでいる家を人に貸すことになるかもしれません。
あるいは転職して通勤が不便になったり、子供ができて狭くなったりして売ることを考えるかもしれない。
貸したり、売ったりする可能性がゼロではないのであれば、投資物件としてどれくらいの価値があるかは重要な問題。
ローンを完済すれば、資産になると思っていた自宅が実は「売れない・貸せない」という負債だったという事態は避けるべきです。
まとめ
「家は買うべき」という、これまで信じられてきた常識は捨てるべき。
常識は時代とともに変わります。前時代の常識を引きずっていると、大きなリスクを取る事になってしまいます。
これからの時代は、下記のようなポイントを考慮して持ち家の購入を検討すべきでしょう。
- 家を買うことは当たり前ではない
- 家を買うリスク
- 家を買うことは不動産投資と同じ