いよいよ日本銀行(日銀)がマイナス金利政策を解除する見込みだという報道がありました。
今後、日米の金融政策が変更されることにより、個人投資家に大きな影響がある可能性があります。
そこで今回の記事では、日本銀行のマイナス金利政策解除の動きが日本経済にどのような影響をもたらすのか、そして私たち個人投資家の投資戦略にどのような変化を迫るのかを解説していきたいと思います。
日銀のマイナス金利政策解除に不安を感じている方は参考にしてください。
なお、今回の記事の要点を聞き流したい方は以下の動画をご覧ください。
マイナス金利政策とは?
マイナス金利政策とは、日本銀行(日銀)が2016年2月に始めた政策で、銀行が日銀にお金を預けるとき、その一部にマイナスの利息を付けるというもの。
普通、お金を預けると利息がもらえますが、マイナス金利では逆に銀行が日銀にお金を払うことになります。
これにより、お金を中央銀行に預けているだけではなく、企業や個人に貸し出すことを促され、経済活動を活発にすることが狙い。
例えば、三井住友銀行などの市中銀行が、日本の中央銀行である日本銀行(日銀)の当座預金にお金を預けた場合、その一部の金額に対してマイナス金利分の利息支払いが必要となります。
結果、市中銀行はマイナス金利を避けるために日銀当座預金の残高を減らして、民間への貸し出しなどに回すことになります。
なお、日本銀行の当座預金に適用されるマイナス金利は、3層構造に分かれています。具体的には、以下の通り。
- 基礎残高:マイナス金利の導入時点で預けられていた残高で金利は+0.1%
- マクロ加算残高:準備預金制度で預け入れが義務付けられている分などで金利は0.0%
- 政策金利残高:基礎残高とマクロ加算残高を上回る部分で金利は-0.1%
なぜ、マイナス金利政策は解除されるのか?
日本銀行(日銀)は、2024年3月18日~19日に開く金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除する見通しと報道されています。
2024年の賃上げ率が5.28%に達し、物価目標2%を持続的・安定的に達成できる環境が整ったと判断したため。
これにより、2007年2月以来17年ぶりに政策金利を引き上げ、マイナス金利政策を解除する方向で調整を進めています。
現在の短期政策金利はマイナス0.1%ですが、これを0~0.1%に引き上げる案が有力。
また、長期金利の上限のめどを1%としている長短金利操作(イールドカーブ・コントロール・YCC)も撤廃する方針。
上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)の新規買い入れ終了も見込まれています。
マイナス金利解除が与える日本経済への影響とは?
マイナス金利政策が解除された場合、日本経済には以下のような影響があると考えられます。
まず、金利の上昇により、企業や個人の借り入れコストが増加し、企業の設備投資や個人の消費を抑制することにつながります。
また、日米の金利差が縮小することにより、円高になる可能性があるでしょう。
よって、日本市場は円高株安となるケースも考えられます。
しかし、日銀はマイナス金利政策を解除したとしても追加利上げには慎重な姿勢が示されています。
マイナス金利政策解除後も「緩和的な金融環境を維持していく」ことが見込まれるので、日本経済への大きなインパクトはなく、極端に円高株安が進むようなことはないでしょう。
財務省の緊縮策強化の可能性あり
なお、日銀がマイナス金利政策を解除することにより、日本経済は好調な状態だという誤った認識が広がる可能性があります。
これを機に財務省は財政政策を更に緊縮方向に向かわせることが考えられます。
ほとんどの政治家達も日銀の政策変更を日本経済の好調さと受け取り、財務省の考え方に異を唱えないでしょう。
しかし、現状で金利の引き上げや緊縮策に耐えられるのは、好調な業績を維持している大企業だけ。
一部好調な中小企業もあるでしょうが、大半の中小企業は更に厳しい状況に追い込まれる可能性があります。
実際、実質賃金は22ヶ月連続でマイナス。コストプッシュ型のインフレにより個人消費は冷え込んでいる状態。
ここで財務省による緊縮策が強化されれば、「失われた30年」が「失われた40年」になる可能性大です。
マイナス金利解除後の投資戦略とは?
マイナス金利が解除された場合、私がおすすめしているインデックス投資を行っている個人投資家は、どのような投資戦略を立てるべきなのでしょうか?
インデックス投資家は淡々と積立投資を継続するのみ。
円高になろうが株安になろうが焦る必要はありません。
仮に、円高かつ海外株が下がるような場面があれば、絶好の買い場と考えるべきでファンドの保有口数を増やすチャンスです。
積立投資を継続するだけでなく、まとまった資金を投入することを検討してもいいでしょう。
今後は、日本の金融政策だけでなく、米国の利下げの可能性があるかなど不確定要素が多い状況。
インデックス投資家は、市場の状況を読むのではなく淡々と積立投資をすることが最適解でしょう。
まとめ
以上が、日銀のマイナス金利政策解除と日本経済に対する影響についての解説でした。
マイナス金利政策解除後も「緩和的な金融環境を維持していく」ことが見込まれるので、日本経済への大きなインパクトはなく、極端に円高株安が進むようなことはないでしょう。
日本の金融政策が変更されてもインデックス投資を行っている個人投資家は、これまで通り淡々と積立投資を継続するのが最適解です。
市場の状況を考慮したり、投資タイミングを図る必要はありません。