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【不正アクセス】証券口座乗っ取りによる損害を証券会社10社が補償へ


ネット証券などで不正アクセスにより顧客の資産が勝手に売却され、その資金で見知らぬ中国株などが購入されるという悪質な詐欺被害が急増したことが話題になりました。

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金融庁の発表では2月~4月中旬に不正取引が1400件以上確認され、売買金額は950億円を超える状況。

 

被害の拡大を受けて日本証券業協会と大手証券10社は、証券口座乗っ取りにより損失を被った顧客に対して被害額の一部を補償する方針を共同で表明しました。

 

不正アクセスに対しては補償しないと定めていた証券会社が多いですが、「約款の定めに関わらず一定の被害補償を行う」とのこと。

 

証券口座乗っ取りに関しては、被害の補償について気になっていた方も多いはず。

 

今回の記事では、日本証券業協会と大手証券10社が発表した証券口座乗っ取りによる損失補償について解説します。

 

不正アクセス被害に恐怖を感じている方は参考にしてください。

 

 

補償を表明した証券会社は?

証券口座乗っ取りの損害補償を表明した大手証券やネット証券10社は下記の通りです。

  • SBI証券
  • 楽天証券
  • マネックス証券
  • 松井証券
  • 三菱UFJeスマート証券(旧auカブコム証券)
  • 野村証券
  • 大和証券
  • SMBC日興証券
  • みずほ証券
  • 三菱UFJモルガン・スタンレー証券

 

なお、これまで口座乗っ取りによる被害が確認されている証券会社は楽天証券野村証券SBI証券SMBC日興証券マネックス証券松井証券大和証券三菱UFJeスマート証券(旧auカブコム証券)、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の合計9社。

 

金融庁によると、口座へのログインなど不正アクセスが2025年2月~4月中旬までの3ヶ月合計で3312件。

 

このうち不正な取引は1454件あり、売却と買い付けがそれぞれ約506億円、約448億円が確認されていて合計で954億円となっています。

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補償内容は?

不正アクセスの顧客被害に関して日本証券業協会と大手証券やネット証券10社が協議を実施し、下記のような発表がありました。

 

(前略)

今般のフィッシング詐欺等による証券口座への不正アクセス等により、第三者がお客様の資産を利用して、有価証券等の売買等を行ったことにより発生した被害について、各社の約款等の定めに関わらず、一定の被害補償を行う方針とすることを申し合わせました。

なお、お客様が被った被害の補償については、被害状況を十分に精査し、そのお客様のIDやパスワード等の管理を含む態様やその状況等並びに証券会社における不正アクセス等を防止するための注意喚起等を含む対策等を勘案したうえで、個別の事情に応じて対応することになります。

今後の手続き等の内容につきましては、被害の発生している各証券会社において決定し次第、ご案内することを予定しております。

(後略)

 

今回の発表のポイントは下記の通り。

  • 約款等の定めに関わらず、一定の被害補償を行う
  • IDやパスワード等の管理状況により補償内容を勘案
  • 今後の手続きについては証券会社ごとに案内する

 

補償水準は、IDやパスワード等の管理状況など「個別の事情に応じて対応」としているので損害額が全額補償されないケースもあるでしょう。

 

また、損害をどのような形で補償するのかも気になるところ。

 

損害を金銭で補償する場合、損失を受けた時期と補償を受ける時期にタイムラグが発生します。

 

補償を受けるまでの間に相場が大きく上がる「稲妻が輝く瞬間」があれば、それを逃してしまうことになります。

 

 

NISA口座の損害は全額補償すべき

今回の発表によると、損害が補償されれるとしても一部というケースも出てくるでしょう。

 

しかし、NISA口座の損害に関しては全額補償すべき

 

また、証券会社だけに責任を押し付けるのではなく、国(政府)も補償に参加するのがスジです。

 

公的年金だけでは老後資金は足りないと国民を煽り、「資産所得倍増計画」というとんでもない政策を打ち出して投資を推進したのは国(政府)。

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そもそも公的年金の給付水準が引き下がる傾向にある責任は国(政府)にあります。

 

少子化の影響で年金受給者層に比べて社会保険料を負担する現役世代の割合が減っていくのは、国(政府)の失政が原因。

 

人口のボリュームゾーンである団塊ジュニア世代を就職氷河期世代としてしまい、子供が増えない状況を作ってしまいました。

 

この問題は以前から指摘されてきたこと。

 

しかし、就職氷河期世代の問題を根本的に解決するような対策は行われていません。

 

未だに少子化対策として「こども家庭庁」などというムダな省庁を作り、ムダな予算を垂れ流しています。

 

その証拠に「こども家庭庁」は数兆円もの予算を使いながら、2024年の国内の出生数は過去最少の72万988人で、日本人のみの出生数は70万人を割り込む見込み

 

また、総務省が発表した15歳未満の子どもの推計人口(2025年4月1日現在)は、前年より35万人少ない1366万人で44年連続の減少

 

初めて1400万人を割り、比較可能な1950年以降で最少を更新しました。

 

国(政府)は失政の責任を全て国民に押し付けている状態です。

 

金融リテラシーやネットリテラシーが低い人達までに資産運用をさせているわけですから、詐欺集団からしたらカモが大量に狩場に供給されている状態

 

有名投資家であるテスタさんまでも乗っ取り被害に遭ったことが話題になりました。

 

ネットリテラシーが低い高齢者などは、簡単に騙されてしまうことが容易に想像できます。

 

NISA口座の資産は爪に火を点すような節約をして貯めている大事な老後資金という方が大半なはず。

 

大事な老後資金が詐欺被害に遭えば人生計画が破綻する可能性もあります。

 

その責任を個人投資家と証券会社だけに負えというのは、あまりも無責任であり酷ではないでしょうか。

 

 

まとめ

貯蓄から投資へ」というお題目を国(政府)が掲げるのはやめるべきです。

 

老後不安を煽り、国民の大切な資産を投資へと誘導。その結果、詐欺被害に遭わせるという日本の政治家は三流以下

 

大事な老後資金の確保を個人の運用に任せるなど愚の骨頂で、先進国の政府がやることではありません。

 

真面目に働いて日本の国力を増やすことに貢献してきた人たちには、国(政府)が老後を保障するという発想がないと日本はますます衰退します。

 

資産運用を否定するつもりはありませんし、私自身も行っています。

 

しかし、資産運用に絶対はなく、元本割れのリスクがあります。

 

資産運用はより豊かな人生を実現するために行うモノであって、老後の最低生活レベルを確保するために行うモノではありません。