
増税メガネこと岸田前首相が主導する資産運用立国議員連盟がNISAの拡充を石破総理大臣に提言したと報道されました。
提言内容は、高齢者に限定して対象となる金融商品を拡大できる「プラチナNISA」や投資可能年齢を「つみたて投資枠」に限って撤廃する「こども支援NISA」の導入など。
「成長と分配の好循環」をお題目に提言内容をまとめたようですが、NISAを拡充することで「成長と分配の好循環」が日本で起こるのでしょうか?
今回の記事では、NISA拡充策の必要性について解説します。
「NISAの拡充策を考える前にやるべきことがあるだろう」と思っている方は参考にしてください。
プラチナNISAで老後は安心?
現行のNISAでは購入できない「毎月分配型」の投資信託を高齢者に限定して対象に加えるのがプラチナNISA。
毎月分配型を対象に加えることを検討している理由は、年金を主な収入源としている高齢者のニーズが強いこと。
元本を取り崩すリスクがあっても「運用しながら取り崩す」という高齢期の運用商品として「毎月分配型」の投資信託はアリだとは思います。
しかし、下記記事で解説した通り、毎月分配型の投資信託には売り手側だけが儲かるようなファンドがあることも間違いありません。
ネット界隈では「高齢者のタンス預金の炙り出しが目的」や「金融業界から解禁の要望があったのではないか」とも言われています。
認知能力が衰えている可能性がある高齢者に選択の難しい「毎月分配型」の投資信託を解禁する必要があるのでしょうか?
老後の安心どころか金融機関のカモにされる危険性すらあります。
「毎月分配型」の投資信託を購入しなくても積み立てた投資信託を定期的に取り崩す(売却する)ことで収入を得ることは可能。
プラチナNISAを導入しなくても既に定期売却サービスを用意している証券会社もあるので、そのサービスをより多くの金融機関にも導入させることで事足りるでしょう。
こども支援NISAは少子化対策になる?
現状、18歳以上となっている投資可能年齢を「つみたて投資枠」に限って撤廃するのが「こども支援NISA」。
子育て支援・少子化対策の一環としての提言のようです。
私のように18歳未満の子供が居る人にはうれしい改定案であり、子育て支援の一環にはなるでしょう。
しかし、少子化対策にはなりません。
以下の記事で解説した通り、少子化の原因は非婚化。
収入が不安定で将来に不安がある若者が「こども支援NISA」が導入されたからといって結婚して子供を作りたいと思うでしょうか?
2024年の国内の出生数は過去最少の72万988人で、日本人のみの出生数は70万人を割り込む見込み。
既に子育てをしている人への支援も必要ですが、子育て支援を充実させても少子化は解決しないことはこれまでの政策で証明済み。
いつまで同じ過ちを繰り返したら気が済むのでしょうか?
子育て世代が「こども支援NISA」へ投資資金を回すことにより、消費が減退して日本経済が更に停滞する可能性もあります。
そうなれば、若者世代の将来不安は増幅して更に非婚化に拍車を掛ける危険性すらあります。
経済が停滞している日本に必要な政策はNISAの拡充ではない!
2024年の物価を考慮した日本の実質GDPは前年比0.1%増。
また、2024年の消費支出は物価変動の影響を除いた実質で前年比1.1%減少。
食料品などの物価上昇が消費の重荷となり、2年連続で減少しました。
つまり、日本経済は完全に停滞している状態。
現状の経済情勢下で必要な政策はNISAの拡充ではありません!
資産運用立国議員連盟の提言を受けて石破総理大臣は下記のように発言。
「岸田政権の路線を踏襲し、物価上昇を上回る賃金上昇に取り組んでいる。賃上げをどう活用していくかという点で資産運用が非常に大きな役割を果たすので推進に努めていく」
一方、岸田前首相は記者団に対し下記のように発言。
「アメリカの関税措置で不透明感が漂っているが、賃上げと投資の好循環による成長型の経済を取り戻さなければならない。石破総理大臣には改革を続けてもらいたい」
前首相と現首相の経済音痴さは絶望的なレベル。
企業が賃上げしても増税や社会保険料を引き上げる。
更に可処分所得が上がらない中で投資を推進すれば、消費が低迷するのは火を見るよりも明らか。
日本のGDPの5割超は個人消費。

(出典:消費者庁)
その個人消費が活性化するようにしないと「成長型の経済」は取り戻せません。
個人消費を活性化するためには、国債を財源として下記のような政策を行うべきです。
- 消費税廃止・減税
- 「年収の壁」引き上げ
- 社会保険料減免
早急に約50%という高い国民負担率(国民所得に対する税負担と社会保険料負担の割合)を引き下げ、国民の可処分所得を増やす政策を行う必要があります。
誰かの消費は、誰かの所得。
国民の可処分所得を上げて個人消費を盛り上げることが、日本経済の活性化につながります。
なお、今以上に国債を発行すると「財政破綻する」や「ハイパーインフレになる」と思っている人も少なくないでしょう。
しかし、自国通貨建ての国債を発行できる日本が「財政破綻」することはありませんし、「ハイパーインフレ」になる可能性もほぼありません。
これは財務省が自ら認めていること。
何よりの証拠がコロナの際に日本は100兆を超える国債を発行しましたが、財政破綻もハイパーインフレも起こっていません。

(出典:財務省)
まとめ

増税メガネこと岸田前首相が主導する資産運用立国議員連盟がNISAの拡充を石破総理大臣に提言したと報道されました。
しかし、現状の経済情勢下で必要な政策はNISAの拡充ではありません!
高い歳費(給与)を受け取りながら的外れな政策をドヤ顔で推進する政治家達には早々に退場してもらわないと日本の衰退は止まりません。
今後の選挙では、日本を衰退に導く政治屋たちを一掃すべく投票率を上げていく必要があります。
日本に残された時間は、ほとんどありません。