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【年金制度改革関連法案】基礎年金の底上げ案は消費税増税の布石⁉︎


政府・自民党は年金制度改革関連法案を閣議決定し、国会に提出しました。

 

政府・自民党は今国会での成立を目指していますが、立憲民主党は基礎年金(国民年金)を底上げする措置が盛り込まれておらず不十分だとして修正を求める方針。

 

就職氷河期世代らの低年金対策である基礎年金の底上げは、与党内に慎重論が強く検討段階で削除されました。

 

低年金対策は必要ですが、厚生年金の積立金を活用して基礎年金を底上げする措置は絶対に許すべきではありません。

 

基礎年金の底上げに厚生年金の積立金を流用することも問題ですが、消費税が増税される可能性もあるからです。

 

今回の記事では、厚生年金の積立金を活用して基礎年金を底上げする措置の問題点とその解決策ついて解説したいと思います。

 

消費税の増税に反対な方は参考にしてください。

 

 

厚生年金の積立金を活用した基礎年金の底上げ案とは?

現在、基礎年金国民年金)と厚生年金でそれぞれ年金額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」と呼ばれる措置をとっています。

 

経済状況が横ばいなら基礎年金は2057年度まで抑制を続ける必要があり、給付水準は今より3割下がると試算されています。

 

基礎年金に厚生年金の積立金の一部と追加の国庫負担を投入すると、抑制措置の終了時期を2036年度に前倒し可能。

 

基礎年金の給付水準は1割減にとどめられますが、厚生年金の抑制終了は現行の2026年度から2036年度に延び、給付水準は1割下がります

(出典:日本経済新聞)

 

マクロ経済スライドについては、以下の動画で分かりやすく解説されているので、ご参照ください。

 

 

基礎年金の底上げ案は消費税増税の布石⁉︎

上記の基礎年金の底上げ案は、厚生年金財源の基礎年金への「流用」と批判を浴びました。

 

積立金を流用される厚生年金の被保険者も基礎年金を受け取ることになるので、最終的には公的年金の合計の受給額は増えます。

 

しかし、2040年度までは厚生年金の受給者が受け取る年金額が、現行制度に比べて減少すると試算されています。

 

そもそも、民間企業でこれをやったら大問題です。

 

例えば、民間の保険会社が個人年金保険の契約者に約束していた年金額を支払えなくなったので、終身保険の積立金を流用する。

 

これを民間の保険会社がやると言ったら許されるでしょうか?

 

更に問題は厚生年金の積立金流用にとどまりません。

 

厚生年金の積立金とともに国庫負担も追加されることになります。

 

この国庫負担は誰が負担するのでしょうか?

 

自民党だけでなく、野党の立憲民主党までもが消費税は社会保障の財源だというウソを吹聴しまくっています。

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とういうことは、基礎年金の国庫負担が追加されるということで消費税の増税が検討されることは想像に難くありません。

 

つまり、低年金の就職氷河期世代を救うことを名目に消費増税が画策されているということです。

 

低年金の就職氷河期世代を救うために厚生年金の被保険者はダブルで負担を負うことになります。

 

まず、積立金の流用により2040年度まで厚生年金の受給額が減る。

 

更に、国庫負担分として消費税の増税分も負担することに。

 

こんな暴挙を許していいのでしょうか?

 

 

低年金の就職氷河期世代を救う方法とは?

低年金対策として厚生年金の積立金を流用する案は絶対に阻止すべき。

 

とはいえ、低年金の就職氷河期世代らを放置するわけにはいきません。

 

そもそも 低年金の就職氷河期世代を作ったのは国(政府)の責任

 

日本は国(政府)の失政により先進国で唯一30年間も成長しない「失われた30年」を経験しました。

 

その「失われた30年」による被害を最も受けたのがロスジェネ世代とも呼ばれる就職氷河期世代です。

 

その責任を全て国民側に押し付けるのはいかがものでしょうか。

 

低年金の就職氷河期世代を作り出した責任を取る意味でも厚生年金の積立金の流量などせずに国債発行で穴埋めすべきです。

 

厚生年金の受給額を減らし、更に消費税を増税することになれば、将来不安から消費が低迷して日本経済は更に停滞することになります。

 

国(政府)が国債を発行して年金額を保障することになれば、将来不安がなくなり、消費も活性化するでしょう。

 

将来不安がなくなれば、結婚する人や子供を増やす人が増えて少子化の進行が緩和される可能性もあります。

 

なお、今以上に国債を発行すると「財政破綻する」や「ハイパーインフレになる」と思っている人も少なくないでしょう。

 

しかし、自国通貨建ての国債を発行できる日本が「財政破綻」することはありませんし、「ハイパーインフレ」になる可能性もほぼありません

 

これは財務省が自ら認めていること。

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何よりの証拠がコロナの際に日本は100兆を超える国債を発行しましたが、財政破綻もハイパーインフレも起こっていません

(出典:財務省)

 

 

まとめ

政府・自民党は年金制度改革関連法案を閣議決定し、国会に提出しました。

 

就職氷河期世代らの低年金対策だった基礎年金の底上げは与党内に慎重論が強く検討段階で削除されました。

 

低年金対策は必要ですが、厚生年金の積立金を流用して基礎年金を底上げする措置は絶対に許すべきではありません。

 

その理由は、消費税が増税される可能性があるから。

 

厚生年金の受給額を減らし、更に消費税を増税することになれば、将来不安から日本経済は更に低迷することになります。

 

そもそも 低年金の就職氷河期世代を作ったのは国(政府)の責任。

 

その責任を取る意味でも国債発行で低年金の穴埋めをすべきです。