
参院選では消費税減税が争点の一つでした。
立憲民主党は食料品の消費税ゼロを掲げていましたがトーンダウン。
消費税減税の代わりに話題にあがり始めたのが「給付付き税額控除」。
自民・公明・立憲の3党が協議を始める見通しで、自民党総裁選でも高市氏が提唱しています。
消費税減税の議論は消えてしまったのでしょうか?
また「給付付き税額控除」が導入されれば、私たち庶民の生活は本当に楽になるのでしょうか?
今回の記事では、給付付き税額控除について下記ポイントを解説します。
- 給付付き税額控除とは?
- 給付付き税額控除の問題点
- 給付付き税額控除の導入は消費税増税の布石になる!?
さっさと消費税を減税しろ!とお怒りの方は参考にしてください。
給付付き税額控除とは?|具体例や導入国の事例などを解説
給付付き税額控除とは、「税金の控除(減税)」と「現金の給付」を組み合わせた制度で、中低所得者への支援を目的としています。
仕組みはシンプル。
納める税金がある人は、税額がその分減る(税額控除)。税金が少ない、あるいはゼロの人には、控除しきれない分が現金で支給される。
具体例は下記の通りです。
例)10万円の給付付き税額控除
- 所得税納税額15万円のAさん:減税10万円
- 所得税納税額5万円のBさん:減税5万円+現金給付5万円
- 所得税納税額ゼロのCさん:現金給付10万円

(出典:日本経済新聞)
非課税世帯や低所得層にも支援が届きやすく、一律の減税や給付より効率的されています。
カナダや英国などで母子家庭の貧困対策や子育て支援策として導入事例があります。
給付付き税額控除の問題点
一律の減税や給付より非課税世帯や低所得層に支援が行き届きやすいとされている給付付き税額控除ですが、導入には多くの課題があります。
①所得や資産の把握が難しい
最大の問題点が公平性を損なわない所得の正確な把握です。
給与所得者は源泉徴収で把握できますが、自営業者やフリーランスは自己申告が基本。所得を低く申告することも可能で、公平性を保つのが難しい。
また、不動産や株式などから得られる資産所得を完全に把握するのは簡単ではありません。
②給付金を支払う体制が未整備
給付金を支払う体制整備も課題山積。
マイナンバーとひも付いた公金受取口座の活用が想定されますが、未登録者も多く給付業務は膨大になるでしょう。
給付付き税額控除の事務は複雑で、支払事務を担うであろう地方自治体の負担が重くなります。
国が給付主体になるのであれば、省庁の人員を増やすか再編しなければ実現が難しいとの見方もあります。
③制度設計に時間がかかる
英国でも議論を始めてから制度の定着までに15年近くかかりました。
これから導入の議論を開始する日本においても、上記①②の観点についてだけでも膨大な時間がかかることが予想されます。
上記の3点から分かることは、減税だけはしたくない財務省の思惑に政治家が乗せられているという構図。
集めて配る権限を手放したくない財務省は消費税などの恒久減税は最も避けたい政策でしょう。
私たち庶民は現在進行形で物価高に苦しんでいる状況で、早急な物価高対策を求めています。
政治家たちの悠長な議論を見ている余裕はありません。
そもそも集めて配るのは非効率。
その点でもさっさと消費税を減税ないし廃止したり、年収の壁を大きく引き上げるべきです。
早急に庶民が使える可処分所得を増やして経済を活性化しないと、日本人の貧困化は止まりません。
消費税増税の布石になる!?
給付付き税額控除は消費税率引き上げを決めた2012年の社会保障・税一体改革大綱で「検討」された政策でした。
その目的は消費税の逆進性を和らげるため。
【消費税の逆進性とは?】
所得が低い人ほど消費支出に占める税負担の割合が高くなること。
例えば、年収200万円の人が年間100万円消費すると10万円(10%)が消費税。これは収入の5%に相当。
一方、年収1000万円の人が200万円消費しても消費税の20万円は収入の2%。
上記ように消費税は低所得者ほど負担感が強くなる。
給付付き税額控除は、消費税の逆進性を所得税を通じて和らげる仕組みとして検討されてきた制度。
よって、給付付き税額控除の導入は逆進性に配慮することにより「消費税を増税しても大丈夫」という口実に使われる可能性があります。
しかし、10%を超えて消費税を増税すれば、日本経済は立ち直れないほどの大打撃を受けるでしょう。
実質賃金は過去30年間ほとんど伸びていません。

(出典:総務省)
その大きな要因の一つが、1980年の30.5%から2025年には46.2%まで上昇した国民負担率(国民所得に対する税負担と社会保険料負担の割合)の高さ。
これ以上の負担増は、日本人の貧困化を加速させるだけ。
今必要なことは回りくどい制度構築ではなく、シンプルに消費税などの減税で家計を支え、お金が回るようにして経済を活性化すること。
そもそも消費税の逆進性を緩和するために制度設計に時間がかかる給付付き税額控除を導入する意味があるのでしょうか。
消費税の廃止が一番の逆進性対策になります。
まとめ

参院選で争点の一つだった消費税減税がトーンダウンし、代わりに話題にあがり始めたのが「給付付き税額控除」。
一律の減税や給付より非課税世帯や低所得層に支援が行き届きやすいとされている給付付き税額控除ですが、導入には膨大な時間がかかることが予想されます。
私たち庶民は現在進行形で物価高に苦しんでいる状況で、早急な物価高対策を求めています。
政治家たちの悠長な議論を見ている余裕はありません。
今必要なことは回りくどい制度構築ではなく、シンプルに消費税などの減税で家計を支え、お金が回るようにして経済を活性化することです。
そもそも消費税は社会保障の財源などではなく、中小零細企業と庶民を苦しめる税。
私たち庶民は、最低でも消費税の減税、最終的には廃止を求めていくべきです。