2024年から新NISAを始めようと考えている方も少なくないでしょう。
しかし、制度について完全に理解できている方も多くないはず。
制度内容を勘違いしていると思ったほどの成果が出せないばかりか、損失を出してしまう可能性もあります。
新NISAが始まる前に誤解を解消しておいた方がいいのは間違いありません。
そこで今回は、投資初心者が陥ってしまう新NISAに対する勘違い4選を解説します。
新NISAを上手に活用して資産を増やしたいという方は参考にしてください。
- 新NISA制度とは?
- 勘違い①NISAは非課税でリスクが低い
- 勘違い②成長投資枠を1200万円使う必要がある
- 勘違い③どの金融機関でNISA口座を開設しても条件が同じ
- 勘違い④NISAで購入できる投資信託は高いリターンが期待できる
- まとめ
新NISA制度とは?
まずは簡単に新NISA制度について解説します。
新NISAは2024年1月からスタートする予定です。
新NISA制度の概要は下表の通り。
新NISA制度の改正ポイントは下記の通りです。
非課税保有期間の無期限化
現状の一般NISAの非課税期間は5年、つみたてNISAの非課税期間は20年ですが、新制度では非課税の投資期間は無期限となります。
制度(口座開設期間)の恒久化
2014年から始まった「一般NISA」で投資できるのは2023年までと決まっています。
また、2018年開始の「つみたてNISA」の投資可能期間は2042年までで、非課税の保有期間は最長で2061年まで。
一方、2024年からNISAは期限のない恒久的な制度になります。
つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能
現在は、「一般NISA」か「つみたてNISA」のどちらかの制度を選ぶ必要があり、併用はできません。
新制度では一般NISAを「成長投資枠」、つみたてNISAを「つみたて投資枠」として両制度の併用が可能となります。
勘違い①NISAは非課税でリスクが低い
NISAでの収益は非課税ですが、リスクが低いわけではありません。
当然、元本割れの可能性もありますし、必ず利益が出るという保証はない。
また、1円でも利益が出なければNISAの非課税メリットは享受できません。
後述しますが、「つみたて投資枠」「成長投資枠」とも購入できる投資信託などは制限されていますが、リスクが低い商品が選定されているわけではありません。
課税口座で購入する金融商品と同じようにボラティリティの高い(価格変動の度合いが大きい)商品も購入できますので、注意が必要です。
勘違い②成長投資枠を1200万円使う必要がある
新NISAの生涯投資枠は1800万円で、その内の成長投資枠は1200万円までと決まっていますが、成長投資枠は必ずしも使う必要はありません。
成長投資枠を使わず、つみたて投資枠だけで生涯投資枠の1800万円を埋めることも可能。
投資が仕事でも趣味でもない方にとっては、つみたて投資枠を使用して生涯投資枠を1800万円埋めるか、成長投資枠もつみたて投資枠と同じ投資信託で1200万円埋めてもいいでしょう。
勘違い③どの金融機関でNISA口座を開設しても条件が同じ
投資初心者の方の中には金融機関の窓口に行って新NISAの口座を開設し、金融機関がすすめる商品を買おうと考えている場合も少なくないでしょう。
そのような考え方は避けた方が無難です。
逆説的ですが、新NISAで投資すべきインデックスファンドを選び、そのファンド(投資信託)に投資できる金融機関を選ぶべき。
日本には約6000本の投資信託がありますが、「つみたて投資枠」「成長投資枠」で購入できる投資信託は制限されています。
例えば、「つみたてNISA」で購入できる投資信託は257本(2023年11月現在)。
この257本の全てをどの金融機関でも購入できるわけではありません
銀行によっては投資できる投資信託が10本程度ということがあり得ます。
新NISAは非課税枠が大きくなり、非課税期間も無期限になったのでどのファンド(投資信託)で運用するかによって致命的な差が発生する事になります。
また、成長投資枠で個別株や米国株などに投資したいと考えている方もいると思いますが、金融機関によっては個別株や米国株などを購入できないこともあるので注意が必要。
付き合いのある銀行で新NISA口座を開設したら、米国株に投資できないだけでなく、日本の個別株にも投資できないというケースも考えられます。
下記記事で解説した通り、投資信託の取り扱い本数が多く米国株などにも投資が可能なSBI証券や楽天証券などのネット証券で口座を開設するのがおすすめです。
勘違い④NISAで購入できる投資信託は高いリターンが期待できる
先述の通り「つみたて投資枠」「成長投資枠」とも購入できるファンドは制限されていますが、どのファンドを購入しても同じように高いリターンを期待できるわけではありません。
特に成長投資枠で購入できるファンドには注意が必要。
「成長投資枠」では、下記ファンドは除外されることになっています。
- 信託期間が20年未満
- 高レバレッジ型
- 毎月分配型
運用各社が条件を満たすファンドを投資信託協会に報告して、協会がそれを取りまとめて発表しています。
成長投資枠で投資可能なファンドは約2000本に絞られますが、2000本もあれば投資に不適格と思えるようなファンドも入ってくるでしょう。
また、つみたて投資枠は成長投資枠よりは対象ファンドの本数が絞られていますが、どのファンドを選んでもいいわけではなく、自分の投資方針にあったファンドを選ぶことが重要です。
まとめ
投資初心者が陥ってしまう新NISAに対する勘違い4選は下記の通り。
- NISAは非課税でリスクが低い
- 成長投資枠を1200万円使う必要がある
- どの金融機関でNISA口座を開設しても条件が同じ
- NISAで購入できる投資信託は高いリターンが期待できる
制度内容を勘違いしていると思ったほどの成果が出せないばかりか、損失を出してしまう可能性もありますので注意が必要です。
新NISA制度開始まで残り1ヶ月ちょっと。
新NISA制度を最大限活用するするためにも、制度に対する誤解を解消しておくことをおすすめします。