ガソリンの価格が上昇しています。気付けば200円目前。
更に石油元売り会社への補助金(燃料油価格激変緩和策)が9月末で終了するという状況。
岸田首相が補助を延長する方向で検討するという情報が出ていますが、どうなるのでしょうか。
コストプッシュ型のインフレに苦しむ中、ガソリン価格の上昇は特に車なしでは生活できない地域の方には大きな影響があるでしょう。
現在のような状況の中、補助を縮小する政府に怒りを感じている方も多いと思いますが、ガソリンの税金には補助金の縮小や廃止よりも大きな問題があります。
今回の記事では、補助金の縮小や終了よりも我々国民が知っておくべきガソリン税の問題について解説します。
これ以上、物価高を通して政府に苦しめられたくないという方は参考にしてください。
ガソリン税とは?
ガソリン税とは、ガソリンに課される「揮発油税及び地方揮発油税」の総称。
現在ガソリン1リットル当たり53.8円の税金が課され、そのうち25.1円が特例税率分です。
本来は、揮発油税24.3円+地方揮発油税4.4円=合計28.7円なのですが、2008年5月から暫定税率(2010年4月より特例税率)が適用されて1リットル当たり下記合計の53.8円となっています。
- 揮発油税24.3円+地方揮発油税4.4円=合計28.7円
- 特例税率24.3円+地方揮発油税0.8円=合計25.1円
(出典:JAF)
ガソリンは税金の塊と言われる所以がここにあります。
上記のガソリン税にはトリガー条項と二重課税の問題があります。
次項以降で解説します。
問題点①トリガー条項の発動凍結
ガソリン税の問題点の1つがトリガー条項です。
トリガー条項とは、連続する3カ月の平均小売価格が1リットル160円を超えた場合、翌月から特例税率として上乗せされている分の25.1円の課税を停止するというもの。
トリガー条項は2010年に当時の民主党政権で法制化されました。
現状のガソリン価格は200円に迫る勢い。
本来であれば、3ヶ月連続で160円を超えた時点でトリガー条項が発動され、1リットル当たり25.1円分ガソリン価格が下がっていたはず。
しかし、これまでトリガー条項が発動されたことはありません。
2011年に東日本大震災が起きたときに復興財源を確保するため、震災特例法という法律で発動を凍結する措置が取られました。
凍結を解除するには、この震災特例法を改正する必要があります。
復興財源としては復興特別所得税として所得税に上乗せされているので、更にガソリンの特例税率を復興財源とするのはおかしな話。
後述しますが、そもそも復興財源を税金で徴収する必要などなく、国債を発行すれば済む話。
景気が過熱している際に復興財源を税金で徴収するのであれば理解できますが、わざわざ震災があり景気が冷え込んでいる時に増税するのはナンセンス。
政治家達の経済音痴さには頭が下がります。
問題点②消費税の二重課税の問題
更にガソリン税に消費税が課税されるという二重課税の問題もあります。
ガソリンにはガソリン税(53.8円/リットル)に石油石炭税(2.8円/リットル)のあわせて56.6円がかかっています。
さらに購入価格には10%の消費税を課税。
(出典:NHK)
政府側はガソリン税などは石油の販売会社が支払う税金、消費税はドライバーが払う税金なので二重課税ではないという意味不明な論理を展開しています。
しかし、税金がかけられたうえから消費税がかかっているのは明らかで、二重課税であることは間違いありません。
日本の安定財源は自国通貨建ての国債
トリガー条項を発動させないことも二重課税を解消しないことも税収を確保したいという理由からでしょう。
ガソリン税収は約2兆円、暫定税率分が約1兆円。
トリガー条項を発動すれば約1兆円の税収が消えてしまいます。
減ってしまう税収1兆円をどこで補うべきなのでしょうか?
答えは簡単で国債を1兆円分発行すれば解決します。
国債をこれ以上発行すれば、日本は財政破綻(デフォルト)すると反対する方がいます。
しかし、下記記事で解説した通り、自国通貨建ての国債を発行できる日本が財政破綻(デフォルト)することはありません。
よって、3~4%程度のインフレ率になるまでは国債を発行して財政出動することが可能。
自国通貨建ての国債を発行している国の財政破綻(デフォルト)はないので、国債残高を考慮する必要はなく、インフレ率を目標に財政出動すべきです。
1兆円の税収を死守して国民の生活を苦しめ、強いては日本経済を弱らせる。財務省の官僚は頭が良いのか悪いのかよく分かりません。
トリガー条項を発動してガソリン価格を下げ、更に二重課税の問題を解消すれば、ガソリン価格は大きく下がります。
減税した分をどこかで増税するのではないかという話になるので、「国債を発行するので安心してください」と岸田首相が言えば、支持率は爆上がりするでしょう。
身近な話題から政治に興味を持つ
当ブログは資産運用の知識を発信することを目的にしていますが、政治に関する情報も織り交ぜています。
その理由は政治が我々の生活を大きく左右するから。
資産運用や人的資本(稼ぐ力)の向上も大切です。
これからの日本の経済情勢を憂慮し、人的資本を向上させつつ資産運用して自分達は逃げ切ろうという趣旨のインフルエンサーもいます。
私も以前は同じように考えていました。
しかし、日本自体が沈んでしまえば、全ての努力が水の泡になる可能性があります。
資産運用や人的資本の向上も必要ですが、政治に興味を持つ事も重要。
政治に自浄作用があれば良いですが、現状の日本の政治を考慮すると国民の監視がないために暴走している状態。
政治と生活は密接に関係しています。
私たちは政治に無関心でいられても無関係ではいられません。
今の日本人の生活が苦しくなっているのは、多くの国民が政治に無関心でいたから。
多くの国民が身近な話題から政治に興味を持ち、政治を正さなければ我々の生活が改善する可能性は低いでしょう。
このまま多くの国民が政治に無関心でい続ければ日本の凋落は止まりません。
例えば、2023年8月の埼玉県知事選挙の投票率は23.76%。なんと8割近い人が票を捨てている状態
これでは我々の生活が良くなることはないでしょう。
まとめ
政治に興味を持たないとガソリン税のような国民にとって不利益な政策が継続するでしょう。
ガソリンの税金問題は一例であり、このような事例を挙げれば枚挙に暇がありません。
ガソリンだけでなく、電気代やガス代の補助も9月で終了予定。
更に10月からはインボイスも導入予定です。インボイスは単なる増税。
インボイスは売上1000万円以下の零細企業だけでなく、物価高という形で一般国民にも影響します。
国民が物価高に苦しむ中、補助金を終了し増税するなど正気の沙汰ではありません。
今回の記事を読んでも政治が我々の生活に関係ないと言えるでしょうか。
このまま政治に興味を持たない人が増えれば、さらに日本の経済は停滞し我々の生活が苦しくなっていく事は間違いありません。
国民が身近な話題から政治に興味を持ち、政治を正していかなければ我々の生活はより苦しくなっていくでしょう。