令和7年6月13日、「経済財政運営と改革の基本方針2025 ~「今日より明日はよくなる」と実感できる社会へ~」(骨太方針2025)が閣議決定されました。
骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)は、2001年(小泉政権時代)に始まった政府の経済財政政策の基本方針。
しかし、日本は2001年から骨太になるどころか、骨がスカスカになっている状態。
残念ながら今回の骨太方針2025も日本人を更に貧困化させることになるでしょう。
今回の記事では骨太方針2025の問題点と日本が行うべき政策について解説します。
これ以上、日本を骨抜きにするな!と怒っている方は参考にしてください。
物価上昇を上回る賃上げは可能か?
減税より賃上げということで、2029年度までの5年間で年1%程度の実質ベースでの上昇を目指し、最低賃金は2020年代に全国平均で時給1500円を実現するとしています。
骨太の方針の内容では中小企業の継続的な賃上げ難しいでしょう。
「賃上げ」を声高に叫ぶことが政治家の仕事ではありません。
中小企業が賃上げできる状態にすることが重要。
そのために真っ先に行うべき政策が消費税の廃止。
従業員の賃金や社会保険料は消費税においては経費にならないので、賃上げには大きなマイナス。
消費税が廃止されれば、賃上げの原資になります。
また、消費税が廃止されればインボイスの廃止も可能。
賃上げのために生産性を向上させろと言っておきながら、生産性を下げるようなインボイスを導入する。
国(政府)のやっていることは矛盾しているのです。
消費税の廃止により、賃金UPのインセンティブとなり、またインボイスを廃止することにより生産性も向上します。
消費税は社会保障の重要な財源などという詭弁を即刻止め、日本経済復活のために消費税は廃止すべきです。
プライマリーバランス(PB)の黒字化で日本経済は衰退は加速する
財政健全化に向けて国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス・PB)について、2025~26年度に黒字に転換する目標も掲げています。
プライマリーバランス(基礎的財政収支)とは、行政が行うサービスにかかる経費を税収等で賄えているかどうかを示す指標。
財務省のHPには下記のように解説されています。
プライマリーバランス(PB)とは、社会保障や公共事業をはじめ様々な行政サービスを提供するための経費(政策的経費)を、税収等で賄えているかどうかを示す指標です。現在、日本のPBは赤字であり、政策的経費を借金で賄っている状況です。
(出典:財務省)
いつまでPB黒字化という間抜けな目標を掲げ続けるのでしょうか?
この奇妙な目標を掲げているのは世界で日本だけ。
経済が停滞している日本でPB黒字化を目指すと、日本人は更に貧困化します。
その理由は、PB黒字化を目指して緊縮財政を行うと世の中のお金の流れを悪くしてしまうから。
財政を健全化するために国が歳出を削減したり増税をすれば、国内に出回るお金の量が減ります。
お金は経済の血液。血液が不足すれば人間は体調を崩すでしょう。
それと同じで経済の血液であるお金の量を減らす行為は国内経済を減速させることにつながります。
国内経済が停滞すれば、個人は消費を抑え、企業は設備投資を抑制。
結果、企業の収益悪化につながり、従業員の給与も上がりません。
企業の収益が落ち、従業員の給与が下がれば、国の税収(法人税や所得税など)も落ちます。
皮肉なことに財政を健全化しようと緊縮財政を行えば行うほど却って財政は悪化することに。
これは緊縮財政によりPBの黒字化を達成して破綻したアルゼンチンとギリシャの例が証明しています。
日本もバブル崩壊以降に行われてきた緊縮財政により国内経済は疲弊して「失われた30年」と言われています。
石破首相は「30年にわたって続いたコストカット型経済を高付加価値創出型経済へ着実に転換していかなければならない」と記者会見で発言。
コストカット型経済の脱却を目指すとしながら、国(政府)がPB黒字化というコストカット型の目標を掲げる。
この矛盾に気づけないほど政治家のレベルが下がっているのでしょうか?
約30年間も経済が停滞している日本で、掛け声だけで景気が上向くはずがありません。
国(政府)の積極財政を呼水とすることにより、個人消費や企業の設備投資を喚起する必要があります。
自民党は物価高対策として参院選の公約に国民1人あたり2万円の給付を盛り込むようですが、これもPB黒字化などと間抜けな目標を掲げているため。
誰が考えても1人あたり2万円を配っても経済が上向くとは考えないでしょう。
国債の発行を抑えるために税収の上振れ分だけを使うなどと考えるので、効果のない選挙対策としてのバラマキ案が出てくるのです。
当たり前の経済政策を行えば日本経済は復活する!
日本でも当たり前の経済政策が行われれば、日本経済は復活します。
しかし、自民党や立憲民主党は完全にザイム真理教に洗脳されて財政均衡主義に毒されています。
経済政策において重要なことは、その時々の経済状況を考慮して「減税」と「増税」を行うこと。
経済状況(景気)が悪ければ減税や財政出動で個人消費や企業の設備投資を刺激する。
一方、バブル時のように世の中にお金が回り過ぎて景気が加熱しているような時は、歳出削減や増税で国(政府)がお金を吸収して景気を冷ます。
日本は国(政府)が増税や歳出削減ばかりを続けてきた結果、「失われた30年」をもたらしました。
景気が悪いのに国(政府)が歳出削減や増税でお金を吸収するようなことを続ければ、経済が停滞し続けることは冷静に考えれば分かるはず。
プライマリーバランス(PB)の黒字化という間抜けな目標を掲げてきた結果、日本は三流国に転落しました。
緊縮財政を続けてきた結果、日本は下記のような衰退途上国と揶揄される状態に陥っています。
- 止まらない悪性インフレ
- 主食の米が高騰
- 道路陥没などインフラはボロボロ
- 少子化が止まらず人口は減少
- インバウンドにより観光地が外国人で埋め尽くされる
衰退途上国から復活するためには、国債を財源として下記のような政策を行うべきです。
- 消費税廃止・減税
- 「年収の壁」引き上げ
- 社会保険料減免
早急に約50%という高い国民負担率(国民所得に対する税負担と社会保険料負担の割合)を引き下げ、国民の可処分所得を増やす政策を行う必要があります。
日本円建ての国債はデフォルト(債務不履行)しない
これ以上に国債を発行すると「財政破綻する」や「ハイパーインフレになる」と不安に感じる方もいるでしょう。
しかし、自国通貨建ての国債を発行できる日本が「財政破綻」することはありませんし、「ハイパーインフレ」になる可能性もほぼありません。
これは財務省が自ら認めていること。
何よりの証拠が新型コロナの際に日本は100兆を超える国債を発行しましたが、財政破綻もハイパーインフレも起こっていません。
(出典:財務省)
国債を財源として消費税廃止や「年収の壁」引き上げなどにより国民の可処分所得を上げれば、GDPが増加して税収が上がるでしょう。
税収が上がれば、国債の発行額を減らせる可能性もあります。
国内景気が拡大して企業が設備投資などのために借り入れを増やせば、バブル期のように国債発行ゼロの状況も起こり得ます。
つまり、経済が活性化すれば国(政府)の財政も健全化する!
まさに「経済あっての財政」なのです。
まとめ
経済財政運営と改革の基本方針2025(骨太方針2025)が閣議決定されました。
残念ながら今回の骨太方針2025も日本人を更に貧困化させることになるでしょう。
自民党は国民を貧しくする方向に更に舵を切ることを宣言したようなもの。
プライマリーバランス(PB)を黒字化させたかったら経済を成長させるべきですが、日本政府は緊縮(歳出削減と増税)を繰り返してきました。
結果としてPB黒字化は未達のまま。
自公政権は、そろそろ間違いを認めて正しい方向に舵を切るべきですが、更に間違った方向に舵を切っている状態。
国民が政治に関心を持ち、PB黒字化を声高に叫ぶような三流政治家を国政から排除しない限り、日本の衰退化は止まりません。