新型コロナの影響が長引き、フリーランスなど自営業者(第1号被保険者)の方の中には毎月1万6,590円(2022年度)の国民年金保険料の支払いが苦しい方もいらっしゃるかもしれません。
無い袖は振れぬということで、国民年金保険料の未納(滞納)を放置しているケースもあるでしょう。
実は、国民年金保険料を未納(滞納)のまま放置すると、大きなデメリットが発生する可能性があります。
今回は、国民年金保険料を未納(滞納)のまま放置するデメリットと、保険料を払えない場合の対処法について解説したいと思います。
自分は厚生年金(第2号被保険者)だから関係ないという方も多いと思いますが、家族や知り合いの方などに自営業者(第1号被保険者)の方がいらっしゃる場合の参考にしてください。
- 1.国民年金保険料を支払わないとどうなる?|未納(滞納)のデメリットとは?
- 2.国民年金保険料を払えない場合の対処法|免除制度とは?
- 3.新型コロナウイルス感染症の影響による臨時特例手続の対象者は?
- 4.国民年金保険料免除の手続き(申請)方法は?
- 5.免除された国民年金保険料は支払う必要がある?追納とは?
- まとめ
1.国民年金保険料を支払わないとどうなる?|未納(滞納)のデメリットとは?
新型コロナウイルスの影響で収入が減少し、国民年金保険料を支払うことができず、「未納(滞納)」のまま放置している方もいるでしょう。
実は、国民年金保険料を「未納(滞納)」のまま放置すると、大きなデメリットが発生する可能性があります。
国民年金保険料が未納の場合に発生するデメリットは下記の通りです。
老齢基礎年金が受け取れない
老齢基礎年金を受け取るには受給資格期間が10年間あることが条件となります。
保険料が「未納」の状態だと、年金の受給資格期間を満たすことがでず、老齢基礎年金を受け取れない可能性があります。
障害基礎年金が受け取れない
障害基礎年金を受け取るには保険料の納付について一定の要件を満たしている必要があります。
保険料が「未納」の状態だと、保険料の納付要件を満たすことができず、障害基礎年金を受け取ることができない可能性があります。
遺族基礎年金が受け取れない
遺族基礎年金が支給されるには、保険料の納付について一定の要件を満たしている必要があります。
保険料が「未納」の状態だと、上記条件を満たすことができず、遺族基礎年金を受け取ることができない可能性があります。
若い方だと、「年金をもらう年齢ではないから保険料を支払う必要はない」と考えるかもしれませんが、公的年金は老後に受け取る老齢年金だけでなく、一定の障害状態になった場合に受け取れる障害年金も存在。
また、18歳の3月31日までの子供がいれば、遺族年金が支給されます。
若い方でも事故などで、障害状態になったり、亡くなったりする可能性はゼロではありません。
しかし、保険料が未納のままだと障害年金や遺族年金を受け取れない可能性があります。
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2.国民年金保険料を払えない場合の対処法|免除制度とは?
では、新型コロナの影響などで国民年金保険料が支払えない場合、どうすればいいのでしょうか?
手続き(申請)をすることにより、国民年金保険料の全額または一部を免除してもらえる制度があります。
現在は新型コロナウイルスの影響を考慮した特例免除申請の受付が行われていて、コロナ禍によって収入が減少した方も免除対象となります。
免除の申請をすることにより「未納」ではなく「免除」となり、免除期間は老齢年金の受給資格期間に参入。
障害年金や遺族年金の保険料納付要件を満たすことができます。
3.新型コロナウイルス感染症の影響による臨時特例手続の対象者は?
臨時特例手続きによる国民年金保険料の免除・猶予及び学生納付特例申請は、以下の2点をいずれも満たした方が対象になります。
- 令和2年2月以降に、新型コロナウイルスの感染症の影響により収入が減少したこと
- 令和2年2月以降の所得等の状況から見て、当年中の所得の見込みが、現行の国民年金保険料の免除等に該当する水準になることが見込まれること
本来の免除・猶予対象者は、前年や前々年の所得で判断されますが、特例では、令和2年2月以降の所得で判断されるため、コロナ禍の影響を受けている方も対象となります。
国民年金保険料免除の種類と所得の基準
国民年金保険料の免除には、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の4種類があり、本人・配偶者・世帯主の所得がいずれも以下の計算式で計算した金額以下であることが必要です
全額免除
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
4分の3免除
78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
半額免除
118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
4分の1免除
158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
例えば、単身世帯の場合、年間の所得に換算して57万円以下であれば、全額免除となります。
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4.国民年金保険料免除の手続き(申請)方法は?
免除の手続(申請)は、申請書を記入し、必要な添付書類とともに、住民登録をしている市(区)役所・町村役場または年金事務所へ郵送することになります。
『○○市 国民年金 免除』などと検索すれば、国民年金保険料免除の案内と各市町村ごとの申請窓口の案内が出てくると思います。
申請書等を市(区)役所・町村役場または年金事務所に直接提出することも可能ですが、新型コロナ感染症拡大防止の観点から、郵送による手続きが推奨されています。
免除申請手続きの必要書類は?
免除申請手続きの必要書類は、「国民年金保険料免除・納付猶予申請書」と「所得の申立書(臨時特例用)」の2種類です。
免除申請用の書類と記載方法は、以下の通り。
国民年金保険料免除・納付猶予申請書の記載方法 10分52秒 (YouTube 厚生労働省チャンネル)
簡易な所得見込額の申立書の記載方法 5分07秒 (YouTube 厚生労働省チャンネル)
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5.免除された国民年金保険料は支払う必要がある?追納とは?
免除された国民年金保険料は後日、支払う必要があるのでしょうか?
免除された国民年金保険料は納付する必要はありませんが、10年以内であれば、追納することも可能。
保険料の免除期間があると、保険料を全額納付した場合と比べて老齢基礎年金の額が低くなります。
免除された期間の国民年金保険料を追納することにより、老齢基礎年金の額を増やすことができます。
コロナ禍が収束し、国民年金保険料を支払う余裕が出るようであれば、追納することをおすすめします。
まとめ
国民年金保険料の未納を放置すると、上記のようなデメリットが発生する可能性がありますので、コロナ禍で収入が減少した場合には、保険料の免除制度を利用してください。
また、間違っても国民年金の保険料を滞納して、民間の保険会社が販売する個人年金保険に加入しようなどと思わないでください。
個人年金保険にはないメリットが公的年金にはあります。
公的年金のメリットや個人年金保険との違いについては、下記記事をご参照ください。