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【新NISA】2023年の「つみたてNISA」「一般NISA」の利用は避けるべき?


令和5年度(2023年度)税制改正大綱において、2024年以降のNISA制度の恒久化・非課税期間の無期限化の方針が示されました。

 

2024年の新NISA制度が始まるのに備えて、2023年のNISAの非課税枠を利用すべきか、新制度が始まるまで待つべきか悩んでいる方も少なくないでしょう。

 

結論から申し上げると、2023年のNISAは利用するのがおすすめ

 

今回は、2023年のNISAを活用すべき理由と「つみたてNISA」「一般NISA」「ジュニアNISA」それぞれの活用方法について解説します。

 

既にNISAを始めている方だけでなく、これからNISAを始めようとしている方も参考にしてください。

 

 

新NISAはいつから始まる?|改正内容は?

まずはNISAの改正点を簡単に解説したいと思います。

 

新NISAは2024年1月からスタートする予定です。

 

現行NISAからの改正内容のポイントは、下記の通り。

  • 制度の恒久化
  • 非課税期間の無期限化
  • 非課税投資枠の大幅拡充
  • つみたてNISAと一般NISAの併用可

 

詳細は下表の通り。

出典:新しいNISA : 金融庁

 

なお、新NISAの改正内容や活用方法については、下記記事で詳細に解説していますので、ご参照ください。

www.fpinv7.com

www.fpinv7.com

 

 

現行NISA制度と新NISA制度の関係は?|投資枠は別枠

次に2023年末で終了する現行NISAと2024年から始まる新NISAの関係について解説します。

 

2024年から始まる新しいNISAは現行制度とは分離される方針。

 

現行NISAで投資をしている場合も、新しいNISA制度の非課税枠を満額使えるようになる見込みです。

 

 

現行NISAの2023年の非課税投資枠は使うべき?

先述の通り、現行NISAで投資をしている場合も、新しいNISA制度の非課税枠を満額使えるので、2023年のNISAは利用するのがおすすめ

 

複利効果を得る観点から少しでも長く運用期間を確保するために2023年のNISAも活用するのが得策。

 

これからNISAを始めようと考えている方については、2023年につみたてNISAからスタートし、2024年は新NISAへ移行するという流れをおすすめします。

 

既にNISA口座を開設している方の2023年NISA活用法については、下記の通りです。

 

つみたてNISA

既につみたてNISAで積立投資を行っている方に関しては議論の余地なく2023年の非課税枠は使うべき。

 

2023年につみたてNISAで積み立てた40万円の資産は、20年後の2042年末まで非課税で運用できます。

 

よって、2023年からNISAを始めた場合、1840万円(新NISA:1800万円+現行NISA:40万円)の非課税枠を活用することができます。

 

米国株式や全世界株式で運用する投資信託を20年も保有すれば、過去のデータから考えると元本割れする可能性は非常に低いでしょう。

 

一般NISA

判断が難しいのは一般NISA。

 

2023年に一般NISAで投資した資産は、5年後の2027年末まで非課税で運用できます。

 

2023年に一般NISAを利用する際に注意すべき点は下記の通り。

  • 非課税期間が5年間しかない
  • 現行制度から新制度へのロールオーバーはできない

 

現行NISAから新NISAへのロールオーバー(資産の移管)はできないので、非課税期間終了時には資産を課税口座に移すか売却することになります。

 

2027年末に評価損状態で、売却を避けて課税口座に移すと下記事例のような「実質的に譲渡損が出ているのに課税される」デメリットが発生するので注意が必要。

 

実質的に譲渡損が出ているのに課税される事例

一般NISA口座で買い付けた株式50万円が非課税期間終了時に時価30万円に値下がりし、時価30万円の時点で課税口座に移管したとします。

 

一般NISA口座から課税口座への移管時は、その時点での時価で買い付けたことになるので、課税口座での取得価格は30万円となります。

 

その後、40万円まで値を戻したところで売却すると、譲渡益10万円(40万円-30万円)に20.315%の税金が発生。

 

一般NISA口座で買い付けた時の価格50万円と比較すると、実質的には10万円(50万円-40万円)の譲渡損が発生していますが、あくまでも取得価格は課税口座移管時の30万円と判断されてしまいます。

 

つまり、実質的には損をしているのにも関わらず、更に税金を払わなければならず、実際の損失額が膨らむことになります。

 一般NISAロールオーバー事例

 

ちなみに、私は一般NISAを活用していますが、2023年は一般NISAでインデックスファンドを積み立てる予定。

 

2027年末に非課税期間が終了するまでに現金化して新しいNISAでの投資資金として活用するつもりです。

 

なお、株式の売り圧力になるので、現行の一般NISAから成長投資枠へのロールオーバーが可能になる可能性もゼロではないでしょう。

 

ジュニアNISA

ジュニアNISAは2023年だけでも80万円の非課税投資枠があるので、これからでも口座を開設する価値はあります。

 

以前のジュニアNISAは非課税での途中払い出しができず、人気がなかったのですが、2023年の制度廃止に伴って払い出し制限を撤廃

 

2023年末のジュニアNISA制度廃止後である2024年1月1日以降は、18歳までの払い出し制限が撤廃され、非課税で途中払い出しが可能となっています。

 

ジュニアNISAの不人気の原因だった非課税での払い出し制限が撤廃され、使い勝手が良くなっているので、2023年のみでも活用するのがおすすめです。

www.fpinv7.com

 

 

まとめ

現行NISAで投資をしている場合も、新しいNISA制度の非課税枠を満額使えるので、2023年のNISAは利用するのがおすすめ。

 

複利効果を得る観点から少しでも長く運用期間を確保するため、2023年のNISAも活用するのが得策です。

 

特に、今からNISAを始めようと考えている方は、つみたてNISAを2023年から始めて新NISAに移行するのがおすすめです。

 

今年中にNISA口座を開設しておけば、手続きなしで新NISAに移行するようです。