現役投資家FPが語る

20年以上の投資経験がある現役投資家FPが「人生100年時代」の資産運用や公的年金など「お金」の知恵について語ります

【元本保証】退職金をノーリスクで運用する方法とは?


退職金は受け取った方、これから受け取る方にとって大きな額が入る喜びがある反面、その運用方法に悩むのではないでしょうか?

 

退職金の元本を減らすようなリスクは取りたくない。

 

でも、現状のような低金利下で普通預金に退職金を眠らせておくのはもったいない。

 

上記のような悩みを抱えている方は少なくないと思います。

 

そこで今回は、以下の本を参考に下記ポイントについて解説します。

  • 元本保証の退職金運用方法
  • 退職金運用で注意すべきポイント
  • 退職前に準備するべきこと

 

既に退職金を受け取った方だけでなく、これから退職する予定という方も参考にしてください。

 

『知らないと大損する! 定年前後のお金の正解――会社も役所も教えてくれない 手取りを増やす45のコツ 板倉 京』

 

 

退職金専用定期預金を活用する|ノーリスクで金利1000倍も

退職金専用定期預金」を活用すれば元本割れのリスクなく退職金の運用が可能。

 

多くの銀行が「退職金専用定期預金」を用意しています。

 

退職金専用定期預金とは、退職時に限り年0.5~2.0%程度の高い金利が設定されているもの。

 

普通預金の金利0.001%の500~2000倍。

 

地方銀行や信用金庫などの方が金利が高い傾向があるようです。

 

「退職金専用定期 信用金庫」でググると沢山のプランが出てきます。

 

 退職金専用定期預金の金利が優遇される期間は1~6ヶ月

 

また、優遇金利が適用されるのは、退職後「3か月以内」から「1年以内」「3年以内」といった長期のものまで様々。

 

本書では退職金を預けた銀行の優遇金利期間が過ぎたら、別の銀行の「退職金専用定期」に預け替えていくプランが紹介されています。

 

事前に調べて期間の短いものから長いものに預け替えれば高金利の期間を1年以上に延ばすことも可能。

 

本書には預け替えを成功させ、1年間で金利1.5%をゲットした事例が載っています。

 

退職金3000万円を金利1.5%の定期預金に預ければ利息は45万円(税引き前)。

 

しかし、普通預金であれば、金利0.001%で利息は300円(税引き前)となってしまいます。

 

 

キャンペーン時に個人向け国債を購入する

キャンペーンでキャッシュバックがある時期に個人向け国債を購入する方法も本書で紹介されています。

 

おすすめは個人向け国債(変動10年)

 

個人向け国債(変動10年)は、10年満期の個人向け国債。

 

半年毎に適用する利率が変わる「変動金利」を採用していて、適用利率は「基準金利×0.66

 

市場の金利の動きに応じて適用される利率が半年ごとに変動しますので、金利上昇局面では高くなる金利の恩恵を取り損ねることがありません。

 

上記の通り、個人向け国債(変動10年)は市場金利が上がれば、受取利子も増えることになりますが、 逆に金利が下がった場合には、受取利子は下がりますので注意が必要です。

 

ただし、市場の金利が下がった場合でも年利0.05%は保証されます。

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個人向け国債はネット証券で購入する

個人向け国債は、都市銀行や地方銀行、証券会社などで販売されていますが、銀行や証券会社の窓口での購入はおすすめできません。

 

銀行や証券会社の窓口に行くと余計(金融機関が儲かる)な商品をすすめられる可能性があるから。 

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ネット証券であるSBI証券や楽天証券でも個人向け国債の取り扱いがあります。

 

また、SBI証券では50万円以上の購入でキャッシュバックされるキャンペーンも実施中。

個人向け国債キャンペーン(SBI証券)

 

仮に1000万円分の個人向け国債(変動10年)を購入すると、1万円がキャッシュバックされます。

 

 

高金利の定期預金と投資信託のセットには注意

退職金の運用時に注意が必要なのが、金融機関が儲かるような商品を避けること。

 

例えば、本書で紹介されているのが高金利の定期預金と投資信託のセット販売です。

 

一見、高金利の定期預金はお得なように思えますが、受け取る利息よりも支払う手数料が多くなり、銀行が必ず儲かる仕組みがあります。

 

本書で紹介されている事例は下記の通り。

 

【事例】
3000万円の退職金の半分を定期(金利6%・3か月)、半分を投資信託(購入時手数料3%)とした場合。

 

受取利息
1500万円×6%×(3/12ヶ月)=22万5000円

 

購入時手数料
1500万円×3%=45万円

 

上記の通り、受け取る利息(22万5000円)よりも投資信託の購入時手数料(45万円)の方が高くなってしまう。

 

購入時手数料以外にも信託報酬も差し引かれるので、銀行側は絶対に損をしない仕組みになっています。

 

高い手数料を払っても大きな収益が出る投資信託が販売されているのであればいいのすが・・・。

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更に高金利の定期預金とファンドラップとの抱き合わせもあるので注意が必要。

 

下記記事で解説しましたが、ファンドラップはデメリットも多く、おすすめできるような商品ではありません

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退職前に準備すべきこと|少額でも投資の経験を積むのがおすすめ

まとまったお金が手に入ると低金利で置いておくのはもったいないと考えて慣れない投資に手を出して損失を被ってしまう方が多いようです。

 

人間の心理でしょう。

 

退職金をいきなり投資に回して減らしてしまう事例は枚挙にいとまがありません。

 

私のおすすめは退職前から少額の積立投資を経験しておくこと。

 

投資に慣れておけば、退職金を受け取った際に金融機関の言いなりになることはないでしょう。

 

また、退職金専用定期預金の金利は高いといっても最大2%程度。

 

今後、日本の金利が上がるような局面がくれば退職金専用定期預金の預け替え作戦もアリかもませんが、現状ではインフレに負けて実質的に資産が目減りしてしまいます。

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人生100年時代の老後は長くなる可能性が高い。

 

資産寿命を伸ばすためにも資産運用を活用する方がいいでしょう。

 

 

まとめ

退職金をノーリスクで運用する方法は下記の通り。

  • 退職金専用定期預金の活用
  • 個人向け国債の活用

 

退職金専用定期預金は元本保証ではありますが、正確にはノーリスクでは有りません。

 

インフレに負けてしまうリスクがあるので、退職前から少額ででも投資を経験しておく方がいいでしょう。

 

投資経験があれば、金融機関の言いなりになることを避けられますし、資産寿命を伸ばすことにもつながります。

 

『知らないと大損する! 定年前後のお金の正解――会社も役所も教えてくれない 手取りを増やす45のコツ 板倉 京』