日本円での預金や貯金は、元本保証でノーリスクだと多くの方が考えていると思います。
元本割れリスクのある投資信託や株式を購入する資産運用なんてとんでもない、という方も多いでしょう。
しかし、個人的には保有している資産が日本円のみという資産配分は、今後、超ハイリスクになる可能性があると考えています。
そこで今回は、保有している資産が日本円のみという資産配分がハイリスクだと考える理由を解説します。
預金や貯金にはインフレリスクがある
下記記事で解説した通り、預金や貯金にはインフレリスクがあります。
インフレにより、日本円の価値が目減りする可能性があります。
インフレ(インフレーション)とはモノやサービスの値段(物価)が上がることによって、相対的に通貨(お金)の価値が下がること。
例えば、現在100円で買えるジュースが、インフレにより数年後に物価が2倍になると200円になります。
物価が2倍になると、現在100円で買えるものが2倍の値段の200円になるので、お金の価値は2分の1になってしまいます。
つまり、モノの値段(物価)が上がることによって、通貨(お金)の価値が相対的に目減りしていることになります。
日本人は特に元本保証が好きですが、元本保証は額面の保証であって、価値の保証ではありません。
額面は保証されても価値は変動します。
例えば、額面1,000万円の預金・貯金は30年後も額面1,000万円の預金・貯金で変わりませんが、物価が2倍になれば、実質的価値は500万円となってしまいます。
「老後2,000万円問題」が話題となっていますが、老後に向けて必死に貯金して2,000万円貯めたら、老後を迎えた時には物価が2倍になっていて、「老後4,000万円問題」に変わっていたということになる可能性もあります。
長らくデフレが続いた日本ではインフレなど起こるのかと思っていた方も多いですが、日銀の金融緩和政策の目標は、消費者物価の前年比2%上昇。
日銀の目標が達成されれば、年率2%の物価上昇が起こる世の中になりますので、最低でも年2%を上回る運用益を上げないと、所有している資産の価値が目減りすることになります。
年率2%の物価上昇が続けば、約36年で物価は2倍。
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景気が良くないとインフレは起こらない?
インフレと聞くと景気が良くなり、需要が増えることによりモノの値段が上がるディマンドプルインフレをイメージする方が多いのではないでしょうか。
しかし、今後、日本で需要が盛り上がりインフレが起きるような経済成長は期待できない可能性があります。
財務省が主導する緊縮財政が続く限り、好景気からくるインフレが日本で起こる可能性は非常に低いでしょう。
では、日本円にインフレリスクはないのでしょうか?
日本の衰退が引き起こす超円安からのインフレリスク
実は、日本の衰退が円安を引き起こし、円安がインフレを発生させるリスクがあります。
日本は既に衰退の道を進んでいます。
日本の総人口は2008年をピークに減り始めている。
今後も高齢者の増加と出生数の減少傾向は変わらない見込みで、人口の減少は続くとみられています。
このまま政治の無策が続けば、日本の国力は下がり続け、日本円の信任は下がります。
そうなると、ドルなどの他国の通貨にくらべて円の価値が下がり、円安が加速する可能性があります。
円安が加速すると食料品、原油など多くの製品を輸入に頼っている日本は色々なモノの値段が上がることに。
円安になり過ぎると、日本国内ではインフレが起こることになります。
つまり、円安になり輸入する原料が高くなるので、販売する商品が高くなる。
コストプッシュインフレが起きるわけです。これを輸入インフレーションともいいます。
コストプッシュインフレは、景気がいいわけではないのにモノの値段だけが上がるという最悪の状態。
実際、コロナ後の世界的なインフレと円安を契機に日本ではインフレと同時に景気減速が進む「スタグフレーション」が発生しつつある状況です。
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保有する資産が日本円の預金や貯金だけということが超ハイリスク
今の政治状況が続く限り、日本で景気が大きく浮上する可能性は低く、収入が大きく増えることはないでしょう。
しかし、少子高齢化により医療費や介護費用が増大し、健康保険料や公的年金の保険料、消費税などの税金は上がっていくことが予想されています。
- 給料などの収入は増えない
- 控除される保険料や税金は増える
- インフレにより日本円の資産価値が目減りする
今後、日本人は上記のようなトリプルパンチを食らう可能性があります。
日本円の資産価値減少に対処する方法は、資産に占める現金(日本円)の比率を下げること。
特に、40代、30代以下の世代に関しては資産運用について学び、実行していくべきです。
実際、私の資産配分も日本円に偏っていましたが、株式や投資信託などによる資産運用の比率を上げてきました。
今後も更に株式や投資信託などの比率を上げる予定で、日本円(現金)の比率は投資に回さない生活防衛資金である生活費の3~6ヶ月分程度のみでいいと考えています。
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つみたてNISAや個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)から運用を始める
資産運用を始めるといっても何から始めたらいいか分からないという方は、「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」や「つみたてNISA」など、税制優遇措置がある積立投資から始めることをおすすめします。
昔に比べて資産運用は始めやすくなっています。
投資初心者の方が大きな額で運用を始めてしまうと、手痛い損失を被る可能性があります。
スタートは手堅い積立投資から始めるのがおすすめ。
つみたてNISAやiDeCo(イデコ)を始める場合は、下記記事も参考にしてください。
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まとめ
今回のコロナ禍により、日本の政治家がどれだけ国民の方向を向いていないかが証明されたのではないでしょうか?
今の政治の無策が続く限り、確実に日本は衰退の道を歩んでいくことになります。
下記の記事でも書きましたが、今後は国や会社に頼り過ぎた生き方をしていると、気付いた時には取り返しのつかない状況に追い込まれる可能性があります。
日本の衰退が進めば、資産に占める日本円の比率が高いことがリスクとなります。
株式や投資信託などを保有していないということは、日本円100%という資産配分で資産を運用していると考えるべき。
現実を直視し、今できることは何かを考え、実行できるところから着実に着手していくべきではないでしょうか?