インデックス投資は長期で継続するものという話をしている際によくいただく質問が、「いつまで続けたらいいですか?」とういうもの。
インデックス投資は、いつまで続けるべきなのでしょうか?
10年や20年など最適な投資期間があるのでしょうか。
今回の記事では、インデックス投資はいつまで継続すべきなのかについて解説します。
インデックス投資を始めたけど、「いつまで続ければいいの?」と悩んでいる方は参考にしてください。
インデックス投資とは?
まず簡単にインデックス投資について解説します。
当ブログでは、インデックス投資を「世界中に分散したインデックスファンドを積み立て投資して長期保有すること」と定義しています。
具体的には、オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))のようなインデックスファンドを毎月定額購入するイメージです。
インデックス投資の詳細については、下記記事をご参照ください。
インデックス投資はいつまで継続すべきか?
結論から申し上げると、インデックス投資は一生継続するべき。
どこかで全ての資産を現金化するイメージを持っている方が多いでしょう。
しかし、それではタイミング投資になってしまいます。
ベストなタイミングで全資産を売り抜ける事などほぼ不可能。
積立時と考え方は同じで、どこが安くてどこが高いかは振り返って確認しないとわからないこと。
最後まで右肩上がりが期待できる市場(インデックス)にお金を預けるイメージです。
長期投資は何年間?
初めから投資期間を決める必要はありません。
「長期投資って何年間?」という質問を頂くことが多いのですが、最低でも15年程度は継続すべきです。
株式投資は単年度では収益が大きくブレますが、長期になればなるほど収益が下図の通り安定します。
(出典:WealthNavi)
上図の通り、1年間だけの保有の場合、最大のリターンは60.7%で最低のリターンは-48.7%と大きな差が発生します。
しかし、保有期間が長くなる(グラフでは右に行く)につれ、この変動幅のブレは小さくなり収益は安定。
15年間のトータルだと元本割れのケースは無くなります。
つまり、長期投資の場合、短期投資に比べ収益のブレ具合が小さくなり収益が安定します。
長期投資を継続する上で注意すべきポイント|売りたくなる局面とは?
長期投資が基本と言われていますが、資産を短期で売ってしまう方も多いのが現状。
インデックス投資を長期間継続するうえで資産を売ってしまいたくなる場面があります。
注意すべきポイントは下記の通り。
・相場の下落局面
相場が大きく下落する局面では、投資信託を手放してしまう方が多くなります。
下落局面はどこまで下がるか分からないので、投資信託を怖くて手放したくなるのは間違いありません。
上記の通り、株式市場は短期的には50%程度下落する可能性があります。
短期間に50%もの資産が目減りしたら、手放したくなるのは間違いないでしょう。
どこまで下がるかと不安になり、少しでも含み益がある間に売りたい、又は少しでも含み損が少ない間に売りたい、と思うが人間の心理。
しかし、相場の下落局面はドルコスト平均法のメリットを発揮する場面です。
ドルコスト平均法は、安い時に口数を多く買えることが一番のメリットになるので、下げ相場の時も淡々と一定期間ごとに積み立てることが重要。
リーマンショックやコロナショックの様な暴落時に積み立てをやめたり、積み立てていた投信を売却してしまう方がいますが、それは最悪な対応。
リーマンショックやコロナショック時のような歴史的な下げ相場の際には、資産の評価額が大きく目減りすることもあります。
しかし、下げ相場の時に淡々と積み立てを続ければ、いずれ相場が上昇した時には大きな利益を得ることができます。
・相場の上昇局面
上昇局面もこのまま上げ続けるか分からないから利益を確定したくなるのが人間の心理。
私も運用資産が増えてきて、高級車が買えるくらいの含み益が出るようになってきました。
一旦、利益を確定したい気持ちになることもあります。
しかし、その気持ちをグッと抑えることが重要。
一度、利益を確定してしまったら再度、市場に戻ってくるタイミングが難しくなります。
一般人が中途半端に相場を読んで売買すれば、大きな上昇を取り逃す可能性が高いでしょう。
実際、チャールズ・エリスは『敗者のゲーム』の中で、「投資家は稲妻が輝く瞬間に市場にいなければならない」と書いています。
『敗者のゲーム』の中には、有名な下図のようなデータが掲載されています。
1980年〜2008年にS&P500に投資した場合の運用利回りは年利11.1%。
しかし、下記のように上昇相場を少し取り逃がすだけで、運用利回りはどんどん下がっていくことが分かります。
- ベスト10日を取り逃すと年利8.6%
- ベスト20日を取り逃すと年利6.9%
- ベスト30日を取り逃すと年利5.5%
インデックス投資で最も重要なことは運用を長期継続することであって、自分の判断で売買を繰り返すと大きな上昇を取り逃す可能性が高まるだけでしょう。
積み立てた資産をいつ使う?いつ取り崩す?
ここまで長期投資の重要性を解説してきましたが、積み立てた資産はいつ使えばいいのでしょうか?
資産を取り崩す主なタイミングは下記の通りです。
まとまった資金が必要な時
難しく考えることはありません。
貯蓄と同じで教育費や住宅費など、まとまった資金が必要になったら使えばいいでしょう。
使うために運用しているのです。
ただし、気を付けるべきことが一点あり、必要な額だけ取り崩すこと。
必要となる額だけ取り崩し、残りの資産は運用を継続します。
老後に取り崩しながら使う
老後のために資産運用を行なっている方も多いでしょう。
老後資金として資産を取り崩す際に重要となるポイントは、運用を継続しながら取り崩すこと。
運用を継続しながら取り崩すことで、資産寿命を延ばすことができます。
運用しながら資産を取り崩すケースをシミュレーションしてみました。
65歳までに老後資金1,000万円を準備して、資産を取り崩すシミュレーション例は下図の通り。
【シミュレーション条件①】
資産額:1000万円
取り崩し額:毎月5万円
運用利回り:5%
運用せずに取り崩した場合、16年8ヶ月(81歳8ヶ月)で資産がゼロになってしまいますが、年利5%で運用を継続しながら取り崩した場合、資産寿命は34年6ヶ月(99歳6ヶ月)となります。
また、下記のような条件で取り崩せば、資産は減るどころか逆に増えることになります。
【シミュレーション条件②】
資産額:1000万円
取り崩し額:毎月4万円
運用利回り:5%
老後2000万円問題の「2000万円」は運用せずに取り崩すことを前提に計算された数字。
上記のように運用しながら資産を取り崩すことを前提にすれば、老後に必要な資産額は少なくて済みます。
また、老後の生活をダウンサイジングして取り崩し額を少なくすれば、資産が減るどころか増えていくケースもあるでしょう。
当初の前提が崩れた時
インデックス投資を始める際に考えていた投資の前提が崩れた時は売ることも考える必要があるでしょう。
例えば、米国株式型のインデックスファンドに投資しているが、米国経済が瀕死の状態になるなど。
ただし、間違ったインデックス(指数)に投資していなければ、資本主義社会が続く限りは当初の前提が崩れる能性は低いと思われます。
まとめ
「インデックス投資はいつまで続けるべきか?」という質問を頂く事が多いですが、一生継続すべき。
では、いつ資産を取り崩して使うのか?
教育資金や住宅資金、老後資金としてまとまった資金が必要な時に取り崩すといいでしょう。
取り崩す際に気をつけるべき事は、取り崩した資産以外は運用を継続する事。
運用しながら資産を取り崩すことで、資産寿命を延ばすことができます。