現役投資家FPが語る

20年以上の投資経験がある現役投資家FPが「人生100年時代」の資産運用や公的年金などについて語ります

人生100年時代の年金問題|老後貧乏を避けるためのポイントとは?


f:id:fp-investor-info:20191228222535j:plain

下記の記事でご紹介しましたオリエンタルラジオ中田さんのYouTube動画『【年金問題】老後2000万円不足の真意とは?〜前編〜年金の本質を理解すれば老後の不安が解消!』に続き、後編の『【年金問題】人生100年時代に一生お金に困らない方法とは?〜後編〜』を観ました。 

www.fpinv7.com

 

今回の動画では、「人生100年時代」に老後貧乏を避けるための方法をオリラジの中田さんが解説してくれます。今回の動画も参考になる点が多いので、是非ご覧ください。 

 

 

  

1.老後の柱は公的年金という認識を持つ

動画の前編の復習で、公的年金は積立貯蓄ではなく、保険だという点を認識しつつ、どれだけお得な制度かを確認するため、民間の個人年金保険と比較してみたいと思います。

 

国民年金の保険料は月額16,410円(令和元年度)です。

上記保険料を20歳から40年間納めれば、65歳から780,100円(平成31年4月~)の年金が受け取れます。月に約6.5万円です。

老齢基礎年金は、年金受給者が死ぬまで受け取れます。つまり、終身年金です。

 

公的年金と比較するために、民間の個人年金保険に加入して月1.6万円の保険料を40年間支払ったら、どの程度の年金を受け取れるのかをシミュレーションした結果は下記の通りです。

 

個人年金保険 契約例

被保険者:20歳男性
払込期間:60歳
保険期間:75歳
予定利率:0.85%
年金額56.27万円

月額保険料:15,997円

 

今回シミュレーションした個人年金保険は、20歳から40年間保険料を支払い、60歳から15年間年金を受け取れる確定年金です。年金受取開始時期は、5年間繰り延べることが可能で、65歳から年金を受け取り始めることもできます。

 

5年間、年金の受け取りを繰り延べることで、年金額は57.2万円に増えますが、それでも月額約4.7万円で、老齢基礎年金よりも1.8万円少ない額です。

有配当保険なので、上記金額から多少の金額は上乗せされると思われますが、配当額は保証されていませんし、最悪、配当が出ない可能性もあります。

 

年金を65歳から15年間受け取れば、現在の男性の平均寿命81.09歳(2017年簡易生命表)に近づきます。ただし、15年間年金を受け取れば、どれだけ年金受取人が元気でも年金はストップしてしまいます。

この点が、終身年金である公的年金とは大きく異なります。 www.fpinv7.com

 

なお、一生涯年金が受け取れる終身年金タイプの個人年金保険もありますが、下記記事で解説しているようなデメリットがあるので、注意が必要です。 

www.fpinv7.com

  

個人年金保険はインフレに弱い

公的年金は、物価や賃金が上がれば、年金額が上がる仕組みになっています。しかし、今回シミュレーションした、一般的な個人年金保険には物価が上がっても年金額が上がる仕組みはありません

個人年金保険に加入し、年金を受け取るまでの45年の間にインフレで物価が上がっていれば、受け取る年金額では到底生活できないレベルになっている可能性があります。

 

公的年金には遺族保障、障害保障がある

公的年金には、障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)があり、老後の年金だけでなく、若い方が受け取れる可能性がある点でも保険としての機能を持っています。

今回シミュレーションした一般的な個人年金保険には、障害保障はないですし、死亡(遺族)保障はほぼ積立額を受け取れるだけです。

 

公的年金は老後だけでなく、若い時にも受け取れる可能性のある保険という側面があることを理解する必要があります。 

www.fpinv7.com  

www.fpinv7.com

 

個人年金保険については、下記のような記事も書いているので、良かったらご覧ください。

www.fpinv7.com

 

www.fpinv7.com

 

国民年金の半分は税金が投入されている

なぜ、民間の個人年金保険に比べて公的年金に大きなメリットがあるのかというと、税金が投入されているからです。

国民年金の半分は税金で賄われているので、国民年金の保険料を滞納している人も実は、間接的に負担していることになります。

 

上記の通り、公的年金には民間の個人年金保険にはないメリットがありますので、間違っても国民年金の保険料を滞納し、民間の個人年金保険に加入するなどといった老後貧乏になってしまう誤った判断をしないようにお気を付けください。

 

 

2.「人生100年時代」は働き方などを変えなければサバイバルできない

人生100年時代」は、働き方などの考え方を変えないとサバイバルできないと下記の本を紹介し、中田さんは解説しています。

 

確かに、これまでの常識を捨てないといけない時代になりつつあります。

今までと同じように1つの企業に勤めて、コツコツと預貯金をし、定年後は公的年金と預貯金などの資産を取り崩して生活するということが正解だった時代が終わろうとしているのではないでしょうか。

 

終身雇用は終わる!?

下記の日経新聞の記事にもあるように終身雇用はくずれつつあります。終身雇用が崩れて一番割を食う可能性が高いのが、今の30代~40代です。

現在30代~40代の方は自分の親と同じような生き方をすると、老後貧乏になってしまう可能性があります。考え方をシフトしていかなければなりません。

www.nikkei.com

 

人生100年時代を生き抜くための「LIFE SHIFT」とは?

中田さんは動画の中で、これからはマルチステージ制の時代になると解説しています。

 

一流企業に入って定年まで働けばゴールという時代は終わりかけています。これまでの定年後は公的年金に頼って暮らすという考え方を改める必要があります。

 

働ける間は働くということが重要でしょう。そのためには現役時代の間に資格を取るなどして自分を磨き、人に役立つスキルを身に付けておくことが重要です。

 

長く働き続けるほど、豊かに老後を暮らせる

金融庁の報告書で、老後に2000万円足りないとされたのは、65歳で定年して働かずに90歳まで生きるケースです。

65歳で定年になってもそこから元気な間は働けば、モデルケースでも不足額は2000万円より少なくなっていきます。

 

例えば、75歳まで働き、更に働いている間に貯蓄や運用ができれば、より人生に余裕が出ます。こう考えると、「老後2,000万円問題」も思っていたよりも怖くないことが分かると思います。

 

税制上優遇された私的年金制度を使う

長く働くとともに、更に個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)NISA(少額投資非課税制度)などの税制上優遇されている制度を優先的に活用することも重要です。

長く働き、そして私的年金制度を上手に活用すれば、老後をより豊かに送れる可能性が高まります。 

 

 

3.公的年金(老齢年金)の繰り下げ受給はお得なのか?

動画の中で中田さんは、公的年金の繰り下げ制度はお得な制度と解説しています。

 

現在、公的年金(老齢年金)は65歳からの受取りが基本です。繰り上げ繰り下げの制度を使うと、60歳~70歳の間で年金の受取り開始時期を選べます

 

繰り上げると、最短で60歳から老齢年金を受け取れますが、最大で年金額が30%減額されます。繰り上げると、減額された年金額が一生涯続くので、注意が必要です。

 

逆に繰り下げれば70歳からの受取りが可能です。繰り下げると最大で年金額が42%増額されます。 

今後は、75歳まで繰り下げできるようにする方針で、75歳まで繰り下げれば最大84%増額される予定です。

 

www.fpinv7.com

  

繰り下げの注意点は、65歳から老齢年金を受け取る場合の受取額を超える年齢です。

70歳まで繰り下げた場合は81歳11か月75歳まで繰り下げた場合は86歳11か月まで生きないと元が取れません。

 

中田さんは、「繰り上げて後悔するはこの世、繰り下げて後悔するはあの世」という言葉を出し、繰り下げ制度をすすめています。

 

公的年金の支払った保険料の元を取ろうという考え方をすて、公的年金は保険で長生きした時のセーフティーネットだという考え方にシフトする。

自分が働いて稼いだお金や資産運用で増えた資産で公的年金を受け取らずに一生涯を過ごせれば理想ではないかと中田さんは続けます。

 

厚生労働省から依頼されて作った動画ではないかというくらいに繰り下げのメリットが強調されていて怖いくらいです。

 

上記の話に納得できる方はどれくらいいるのでしょうか?

厚生年金や国民年金の安くない保険料を支払い続け、公的年金の受け取りを75歳まで繰り下げ可能にするから老後も働き続けろといわれ、最終的には公的年金を受け取らずに死ねとは、あまりにも国に都合がいい考え方ではないでしょうか?

 

公的年金制度がここまで厳しくなったのは、国の無策があったからです。日本はいきなり少子高齢化になったわけではなく、ここまで状況が悪化する前に少子高齢化を緩和する有効な手が打てたはずです。

政治家や官僚の失敗の尻拭いをこれから年金を受け取る世代だけに背負わせるとはあまりにも都合がいいように思います。

 

公的年金の繰り下げにはデメリットもある

更に、繰り下げにはメリットだけでなく、デメリットもあります。

老齢年金を繰り下げると、税金や社会保険料が増えることや加給年金を受け取れないなどのデメリットもあるので、デメリットを考慮しながら繰り下げを検討する必要があります。

 

国がすすめているからといって闇雲に従うことは避け、最終的には年金事務所などに相談し繰り下げるかの判断をした方が賢明です。

 

繰り下げ前に受け取っていない年金を一気に受け取ることも可能

繰り下げを希望する場合、予め何歳まで繰り下げるという手続きは不要です。年金を請求しなければ、自動的に繰り下げることになります。

繰り下げた年金を受け取る前であれば、繰り下げを中止し、受け取っていない年金を一気に受け取ることも可能です。

 

例えば、元気なうちは繰り下げを想定して公的年金を請求せず、健康に不安が出るようであれば、繰り下げを止め、受け取っていない年金を一気に受け取るという考え方もあります。

 

繰り下げ制度を使う使わないは、最終的に判断すればいいのですが、このような制度があることと、制度の仕組みは知っておくべきです。 

www.nikkei.com

 

 

4.年金問題を政治の争点にするべきではない!

動画の最後に政治家の思惑があるから年金問題については、対策が難しいという中田さんの発言がありますが、年金問題こそ与党や野党関係なく、超党派で考えるべき問題です。

 

現在、国民がお金を使わない大きな理由の1つが、老後問題です。自分の老後にはいくらの年金がもらえるのか、ひょうとしたらもらえないのではないかという不安が、日本経済の1つのネックになっているわけです。

 

年金問題を政治争点にしている限り、日本の景気が大きく浮上することはないでしょう。

 

1日も早く年金問題について超党派で議論してクリアにし、公的年金・私的年金の仕組みをしっかりと日本国民に浸透させていく必要があります。

選挙のためでなく、国民のために活動する政治家が出てくることを望みます。

  

 

まとめ

繰り上げや繰り下げ制度のメリット・デメリットなどを含め、しっかりと公的年金制度の仕組みを知り、適切に恐れ、冷静に準備をすることが重要です。

 

人生100年時代」を生き抜くために今までの常識を捨てることも必要です。可能な限り長く働き、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)NISA(少額投資非課税制度)などの税制上優遇された制度も利用することで老後貧乏を避け、豊かな老後を送れる可能性が高まります。

 

なお、下記記事で紹介している中田さんの動画も面白いので、興味がある方はご覧ください。

www.fpinv7.com  

www.fpinv7.com